角換わりの重要な課題局面を検討したい。

目次

第1図 課題局面

手順 ▲69飛△86歩▲82歩。

▲88玉型で▲45桂と仕掛けた将棋だ。図は△85歩と継ぎ歩をした局面。

▲85同歩は悪手で、△同桂▲86銀△66角で後手良しだ。

△85歩に▲66銀も考えられるが、△86歩▲75銀△74歩▲同銀△84飛▲63歩成△同銀▲同銀成△同金となると、△87銀が残っていて先手自信ない。

△85歩に▲69飛と回るのが、△65桂を消しつつ、6筋を反撃する一手だ。

△86歩の取り込みに▲82歩と打った図が今回検討するテーマだ。

第2図 課題局面に至るまでの手順 

手順 ▲45桂△44銀▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲29飛△65歩▲同歩△75歩▲22歩△同金▲64歩△86歩▲同歩△85歩▲69飛△86歩▲82歩。

課題局面に至るまでの手順を簡単に振り返りたい。

▲79玉型で▲45桂と仕掛ける変化は、△22銀と引かれ、現状先手がやや無理ということになっている。そのため、先手は序盤で▲69玉と一手パスをする。

▲69玉とする理屈については、こちらの記事をご覧ください。

▲88玉型で▲45桂と仕掛けるのが有力だ。

▲45桂に△22銀▲35歩△44歩▲34歩△45歩▲同歩△65歩とする将棋は、こちらの記事で検討した。

▲45桂△44銀▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲29飛△65歩▲同歩△75歩に、一本▲22歩と打つのが重要だ。

▲22歩を入れずに単に▲64歩とすると、△86歩▲同歩(▲同銀は△22角がある)△65桂▲同銀△同銀▲63歩成△76歩で先手が攻め合い負けする。▲22歩△同金▲64歩とすれば、同じように△86歩▲同歩△65桂▲同銀△同銀▲63歩成と進めて、△22金が壁になっているので先手勝てる。

▲64歩か、▲22歩△同金▲64歩か、の比較についてはこちらの記事で検討した。

第3図 ▲82歩に△71飛の変化

手順 △71飛▲75歩△45銀直▲同歩△33角▲63歩成△同金▲55銀打△76歩▲86銀△55銀▲63飛成△56銀▲44金△52銀▲62竜△61飛▲33金。

▲82歩に△71飛と寄る変化から見ていきたい。8筋から飛車が逸れたので、先手は▲75歩と戻す。

対して後手の手が広い。△65桂、△68歩、△32金もあるところ。これらの変化はこちらで詳しく検討した。

後手の一番本命とされているのは△45銀直だ。▲同歩に△33角とラインで攻める意図だ。

対して▲63歩成と攻める。△76歩なら▲62とでも優勢だが、格好よく▲53と△同玉▲42銀がより厳しい。

△63同銀は▲44歩△同角▲55銀打と角道を止めて先手指せる。

△63同金にも▲55銀打と、強引に角道を止める。

△76歩に▲同銀は、△68歩▲同飛△64桂が痛い。よって▲86銀が正しい。

△55銀▲63飛成△56銀の王手に、▲44金と打つ。△同歩なら▲62竜が王手飛車になる。

▲44金に△52銀▲62竜△61飛▲33金となり、ここで△同金と△同桂に分岐する。

第4図 △33同金の変化

手順 △33同金▲63歩△85歩▲83角△87銀▲97玉。

△33同金には▲63歩と繋ぐ。△85歩に▲83角が、次に▲52竜△同玉▲61角成以下の詰めろになっている。▲83角に△51金と受けても、▲61角成△同金▲81飛で先手優勢。

▲83角に△87銀が後手が用意している強手。▲同金なら、△62飛▲同歩成△68飛▲78銀△62飛成として後手指せる。△87銀に▲同玉も、△86歩▲同玉△62飛▲同歩成△85飛から玉を追いかけて後手指せる。

しかし△87銀に▲97玉が好手だ。

最終図以下、△51金は▲52竜△同玉▲61角成△同金▲62銀で一手一手の寄りだ。▲97玉に△62飛▲同歩成△31玉▲52と△32金打と粘っても、▲61飛△22玉▲56角成が冷静な一手で先手良し。

△33同金とは取れない。

第5図 △33同桂の変化

手順 △33同桂▲61竜△同銀▲74角△52銀打▲56歩△69飛▲62歩△66桂▲68銀。

△33同桂はどうか。

対して同じように▲63歩△85歩▲83角とすると、△87銀▲97玉△62飛▲同歩成△78銀不成で、▲52と△32玉の形が詰まず、先手負けだ。先手は手を変える必要がある。

△33同桂にあっさり▲61竜と取って、△同銀に▲74角と攻防手を放つ。構わず△66桂と攻めてきたら、▲31角で先手勝ちだ。△同玉は▲51飛以下詰みだし、△51玉なら▲41飛△62玉まで決めて▲56歩と戻せばよい。

▲74角に後手は△52銀打と受けるが、駒を使わせたので先手も▲56歩と手を戻す。

△69飛▲62歩に△同銀と応じては▲44歩で先手の攻めが早くなる。相手にせず、△66桂と攻める。これが△78桂成▲同玉△79金以下の詰めろになっている。

△66桂に▲87銀が自然な受けだが、△68金▲61歩成△78桂成▲97玉△41金▲62と△32玉とされると、先手玉は角を渡せないので▲52角成とできないし、▲52とは詰めろになっていないので△89飛成で先手負けになる。

△66桂には▲68銀と受けるのが勝る。

最終図以下、△87歩は▲同玉△89飛成▲88金。△78桂成▲同玉△89飛成▲同玉△87金▲88飛△77桂▲同銀上△同歩成▲同銀△同金が詰めろになっていないので、▲61歩成で先手良し。

第6図 △82同飛の変化

手順 △82同飛▲83歩△81飛▲63角△68歩▲同飛△76歩▲81角成△77歩成▲同玉。

△71飛と逃げる変化は、先手が指せる変化が多い。△82同飛と応じる変化はどうか。

▲83歩とたたくのが先手の狙い筋で、△同飛と取ると、▲63歩成△同銀▲74角で先手良しだ。

▲83歩△81飛に、▲63角と追撃する。△61飛と逃げると▲74角成で、先手の上部が厚くなる。▲63角の瞬間に攻めたい。

▲63角に一回△68歩とたたく。これに▲81角成△69歩成▲82飛△61歩▲63歩成と攻め合うと、△45銀直▲同歩△66桂▲同銀△68飛▲同金△79角▲98玉△68と、と強く踏み込まれても先手玉は必至で、後手玉は詰まず、先手負けだ。

△68歩に▲同飛が勝る。

△76歩に▲同銀と応じるのは、△45銀直▲81角成(▲同歩は△84桂)△56銀▲同歩△65銀▲同銀△同桂▲同飛△76銀で後手指せる。よって△76歩に▲81角成とする。

△77歩成に▲同玉が正しい応手だ。▲77同桂は△45銀直で△76桂を狙われるし、▲77同金は△59銀の割打ちがある。▲77同玉に△59銀なら、▲82飛△61歩▲63歩成で攻め合い勝ちできる。

最終図から△45銀直▲同歩△33角や△76歩が怖いが、先手玉は広くて寄せづらい。先手指せそうだ。

まとめ

今回は▲88玉+▲45桂の仕掛けに△44銀とかわす変化を検討した。

△85歩の継ぎ歩に、▲69飛△86歩▲82歩と反撃した局面が課題局面だった。

△71飛と△同飛に分岐する。

△71飛▲75歩の局面で、△45銀直が本命だが、▲同歩△33角▲63歩成△同金▲55銀打△76歩▲86銀△55銀▲63飛成△56銀▲44金△52銀▲62竜△61飛▲33金と強く踏み込んで先手指せる。

以下△33同金は、▲63歩△85歩▲83角△87銀▲97玉。

△33同桂は、▲61竜△同銀▲74角△52銀打▲56歩△69飛▲62歩△66桂▲68銀で、いずれも先手良し。

△71飛の変化が後手自信なしだと、△82同飛の変化を選ぶことになるが、▲83歩△81飛▲63角△68歩▲同飛△76歩▲81角成△77歩成▲同玉として、この変化も先手指せそうだ。

現状、▲45桂△44銀とかわす変化で後手が形勢を良くするのは大変そうだ。しかし先手はすべての変化を覚えられないので、実戦だといい勝負になるだろう。最後は自力で読み切る力が必要になる。

目次に戻る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA