角換わりの重要な課題局面を研究したい。
目次
第1図 課題局面
手順 ▲13歩△同香▲14歩△同香▲58角△45歩▲14角△33金▲45歩。
図から▲13歩と垂らして攻める。△45歩は▲15香と走って先手指せる。
後手は△13同香と取るが、▲14歩△同香▲58角と打って香が取れる。
△45歩▲14角△33金と▲23角成を受けた手に、先手はじっと▲45歩と歩切れを解消する。この局面が今回のテーマだ。
△86歩と△95歩に分岐する。
第2図 課題局面に至るまでの手順
手順 ▲45桂△22銀▲35歩△同歩▲15歩△同歩▲24歩△同歩▲同飛△44歩▲同飛△43金▲24飛△23歩▲29飛△44歩▲75歩△63銀▲74歩△同銀▲75歩△63銀▲13歩△同香▲14歩△同香▲58角△45歩▲14角△33金▲45歩。
課題局面に至るまでの手順を、簡単に振り返りたい。
▲88玉型で▲45桂と仕掛けていく。
▲45桂に△44銀とかわす変化は、こちらで検討した。
▲24同飛の局面は後手の分岐点だ。
▲24同飛にすぐ△23銀と上がると、▲53桂成△同金(△同玉は▲54飛△同玉▲45角)▲54飛△同金▲63角△51飛▲62銀で先手良し。だから▲24同飛に△86歩▲同歩△87歩▲同金△85歩▲同歩と先手玉を薄くしてから△23銀と上がる将棋もある。
今回は▲24同飛に△44歩と突く将棋だ。以下▲同飛△43金▲24飛△23歩▲29飛△44歩で、先手の桂馬は助からない。▲75歩と戦線拡大する。
△63銀▲74歩△同銀▲75歩に△同銀は、▲76歩と打つ。代えて▲74歩と打ちたくなるが、△65桂▲同歩△76歩の攻めが厳しい。
▲76歩に△86歩は▲75歩と銀を取ることができる。よって△84銀と引くことになるが、飛車先が重くなるので悪形だ。以下▲65歩△同歩(△同桂は▲同銀△同歩▲55桂で先手指せる)▲55銀で先手ペースだ。
△44歩▲75歩△63銀に▲13歩△同香を入れてから▲74歩△同銀▲75歩とすると△同銀と取りやすくなるので、▲74歩△同銀▲75歩△63銀と▲75歩の位を取ってから▲13歩としたい。
第3図 △86歩に▲同歩の変化
手順 △86歩▲同歩△85歩▲34歩△32金▲13歩△同銀▲23角成。
▲45歩に△86歩▲同歩とする変化から見ていきたい。▲同歩に後手は△85歩と継ぎ歩をする。
対して▲85同歩は素直すぎで、△36桂▲58金に△24金、△38角、△85桂▲76銀△28桂成など有力手が多い。△86歩と取り込まれても瞬間は大丈夫なので、ここで手段を考えたい。
まずは▲34歩と打つ。△24金とかわす手もあるが、▲58角△86歩▲85歩と受けておいて、将来△24金が目標の駒になる。△32金と引く方が後手の守備力が高い。
対して▲13歩と垂らし、△同桂ならすぐ▲33香もあるが、一回▲85歩△同桂▲76銀と面倒を見ておくのが有力だ。後手の攻めをいなしつつ、将来の▲33香や▲44歩を楽しみにすれば先手指せる。
怖いが△13同銀と取り、先手は▲23角成と成り込む。
第4図 ▲23角成以下の変化
手順 △27歩▲同飛△24歩▲32馬△同玉▲14歩△22銀▲24飛△23歩▲29飛△86歩▲13歩成△同銀▲85歩。
▲23角成に△24歩と打つのは、▲44香△43歩▲32馬△同玉▲15香△14歩▲同香△同銀▲24飛と勢い良く攻めて先手指せる。
一回△27歩と飛車を近づける。▲同飛に△24歩とすれば、同じように▲44香△43歩▲32馬△同玉▲15香と来れば△14歩▲同香△36角で切り返せる。
▲44香は打てないので、△24歩に▲32馬△同玉▲14歩△22銀▲24飛△23歩▲29飛と落ち着く。手番が来た後手は△86歩が待望の取り込みだ。
対して単に▲85歩もあるが、△同桂から攻められることを覚悟しなければならないので、一回▲13歩成△同銀と後手玉を弱くしてから▲85歩と打つ。
最終図以下、△85同桂は▲86銀。△85同飛は▲87歩で8筋を緩和できる。
最終図は形勢不明。一手一手難解な将棋だ。
第5図 △86歩に▲同銀の変化
手順 ▲86同銀△43歩▲34歩△24金▲58角△76歩▲同角△84桂▲58角△76歩▲74香。
次に▲86同銀の変化を見ていきたい。△76桂のキズは生まれるものの、△85歩の継ぎ歩がないので▲86同銀の方が先手玉が固い。
対して△43歩と、4筋のキズを消す。△86歩▲同銀を入れずに△43歩と打つこともできたが、その場合は▲26香の数の攻めが受けづらい。△86歩▲同銀を入れておけば▲26香に△24歩▲同香△28歩▲同飛△76桂と反撃して後手ペースになる。
△43歩に▲34歩△24金▲58角と△76桂のキズを消す。▲34歩に△32金なら、今度こそ▲26香が厳しい。
▲58角に△34金と取りたいが、▲76香と打つのが面白い一手だ。次に▲74歩があるので△84桂と打つが、▲74歩△76桂▲同角△74銀▲75歩と進むと、▲76角が光っている。後手は桂馬を持っていないので先手の角を追いづらい。
▲58角に△76歩▲同角△84桂▲58角△76歩としたのは、▲76香を消した意味だが、▲74香ともたれておいて先手不満ない展開だろう。
△86歩には、▲同歩よりも▲同銀と取ってみたい。
第6図 ▲45歩に△95歩の変化
手順 △95歩▲44歩△76歩▲同銀△84桂▲67銀左△96歩▲98歩。
▲45歩に△86歩は▲同銀と応じて先手不満ない展開だった。代えて△95歩はどうか。
▲95同歩と応じるのは、△98歩▲同香△84桂と、△76歩と△97歩の両方を狙われて後手の攻めが早くなる。△95歩に構わず、▲44歩が勝る。
△76歩▲同銀△84桂に手抜いて▲46香も考えられるが、△76桂▲77玉△86歩▲同歩△45歩▲同香△51玉▲43歩成△88歩で形勢不明だ。銀をボロッと取らせる指し方は先手にもリスクがある。
△51玉▲43歩成の交換を入れずにすぐ△88歩と打つと、▲58角△89歩成▲76角のように▲43歩成を入れない指し方が可能になる。
△96歩の取り込みに▲46香と打つのは、△97歩成▲79玉△45歩▲同香△77歩と攻められて先手自信なし。
▲98歩としっかり受ける。
最終図以下△77歩や△97歩成▲同歩△98歩▲同香△97香成▲同香△96歩の攻めが予想されるが、先手から▲46香の楽しみが残っていて、先手指せる。
第7図 まとめ
今回は▲88玉+▲45桂の仕掛けに△22銀▲35歩△同歩▲15歩△同歩▲24歩△同歩▲同飛に△44歩と突く変化を検討した。
以下進んで▲45歩の局面で、△86歩と△95歩に分岐する。
△86歩に▲同歩△85歩▲34歩△32金▲13歩△同銀▲23角成の進行は形勢不明。
▲86同銀は、△43歩▲34歩△24金▲58角△76歩▲同角△84桂▲58角△76歩▲74香が予想される進行だ。
▲86同銀と取ってみたい。
△95歩の攻めには、手抜いて▲44歩と突き出す。以下△76歩▲同銀△84桂▲67銀左△96歩▲98歩と対応して、次の▲46香が楽しみに残っている。
現状、いずれの変化も先手指せそうだ。