第2図から①△42金右とした変化を検討したい。
先手はいろいろ攻め方がある。
▲45歩△同歩から始まるが、そこで▲同桂と▲75歩に分岐する。▲45同桂の場合も△44角と△22角に分岐する。
まずは▲45歩△同歩▲同桂△44角の変化から。
第3図
△44角にも複数攻め方がある。
一つ目は△44角に▲65歩と角交換を迫る指し方。
▲15歩△同歩を入れてから▲65歩とすると、△86歩▲同歩△85歩▲同歩△86歩と持ち歩を生かされる。
よって▲65歩△同歩▲15歩が正しい順番になる。
▲65歩に△77角成は▲同桂としておく。△44歩には▲62角がある。
▲65歩に△同桂も有力な対応。
以下▲44角△同銀▲66歩△57桂成▲同金△38角▲69飛△27角成ともたれておく。瞬間は桂損だが、▲45桂を取る楽しみが残っているので後手もまずまずだろう。
△65同歩は丁寧な指し方だ。
▲15歩に△同歩は▲64歩と垂らしておく。嫌味な歩だ。次に▲44角△同銀▲72角を見ている。直接受けるなら△52金や△61飛だが形が乱れるので指したくない。
受ける以外だと△95歩▲同歩△77角成▲同金直(▲同桂は△95香▲同香△97角で後手良し)や、△75歩になるが、いつでも▲63歩成が残っているのが後手は気になる。
▲15歩に手抜いて△86歩は強気の攻め合い。▲24歩△同歩におまけに▲22歩までたたくと、△同玉▲14歩△86歩▲88歩△77角成▲同桂△37角となって、玉が戦場から近くなったというよりも玉が受け駒として機能している。
良いタイミングで▲22歩とたたきたい。
▲88歩と受けた局面で1筋をケアする手もある。△77角成から△66歩は勢い重視の攻め合い志向。
対して▲同銀とするのは△45銀▲同銀△87桂▲同歩(▲69玉は△47角の王手飛車)△同歩成の狙いだ。そこで▲22歩は手抜かれて攻め合いになる。
そこで△66歩に▲22歩とする手もある。△22同玉が入っていれば▲82歩△同飛▲55角で先手良しになる。
▲22歩で△67歩成は▲21歩成△同玉▲67金直で、▲13歩成が残っていて先手指せる。しかし△66歩▲22歩△同玉に今度△37角ともたれておいたとき、攻めづらくなっている。この変化もやはり玉が下段にいた方が攻めやすい。
後からだと▲22歩は入らないが、早く▲22歩を入れると受けに回られる。タイミングが難しい。
一手一手に有力手が複数あって、どれも難しい。しかし後手に手段が多そうだ。先手は先に攻めたにもかかわらず後手の攻めを受け止める展開になる。これでは先に攻めた甲斐がないだろう。
第3図に戻って違う攻め方を考えてみたい。第3図で▲75歩だと△65歩から攻め合われて、△45銀の筋が発生する。
△65歩に▲同歩は△75歩と戻して▲74歩が怖くなくなっている。
最終図以下、▲同金と▲同玉のどちらで取っても△45銀▲同銀△76桂がある。▲同玉に十字飛車だと喜んで△86飛と走ると▲77玉で困ってしまう。▲29飛が遠くからきいている。
△45銀とされる手があるが、先手も桂馬が捌けている。この順と▲45歩△同歩▲75歩とする順を比較してみたい。
第4図
▲75歩に△65歩の攻め合いはどうか。▲66同角に対して△同角▲同銀△88歩とするのは▲同玉で攻めがない。よって△65桂と活用する。後手の桂馬が捌けているので後手不満なさそうだ。
▲45歩△同歩▲同桂△44角▲75歩で、最後△65桂だと先手の桂馬が使えているので攻め合いを目指せる。
▲33桂成で十字飛車がかかる。△25歩は▲23成桂が詰めろになって先手良し。△49飛の王手に▲69歩が固い。これも難しいが、先手の気分は良い。
▲75歩とつくタイミングは難しい。▲45同桂からだと攻め合いが気になるし、△45同歩に▲75歩だと攻め合いの味が無くて寂しい。
この順を選んでも後手は十分戦えるが他の順も見てみたい。
第5図
△44角に代えて△22角と引いた局面。△44歩から桂馬を取りきる狙いだ。しかし角が壁になるので怖い手でもある。
▲15歩△同歩▲35歩とリズム良く攻め、△44歩に▲75歩で攻めがつながる。△45歩▲74歩で△65歩が間に合っていない。△65桂の角交換なら6筋の歩が攻めに絡まない。
▲75歩では▲13歩も有力。△同香なら▲24歩△同歩▲53桂成△同金▲14歩△同香▲24飛とを狙っている。ただ▲13歩以下△45歩▲15香△13香で攻めが細い印象がある。△14歩▲同香△13香が手筋だが、先手に余計な歩を与える。△13香▲14歩△同香▲同香△13歩なら先手の歩が一歩少ない。
▲75歩だと攻めは厚いが後手からの反撃にあうのが懸念点だ。
第5図に戻って▲75歩もある。
△65歩からの攻め合いは△22角が生かされない。具体的には▲23歩のたたきが一本入るし、△66歩に▲同銀と取られたときも損だ。△22角は受けの手なので▲75歩にも△84飛と受けることになりそうだ。
△84飛と受けた場合は第4図で△84飛とした局面と合流する可能性があるので、その局面を調べてみたい。
▲75歩の前に▲15歩と突き捨てを入れると△65歩から攻め合いになったとき後手の歩が多い。
△84飛なら▲15歩はいいタイミングで入る。
▲45桂△44角▲15歩は手順前後で△75歩とされたとき、▲14歩に△18歩▲同香△17歩があり取り込めない。
△44角に▲13歩が狙い筋。
最終図▲24飛と走った局面は香が取れる。しかし▲14飛ー▲12飛成が実現しても次に厳しい手がないのでここから数手は先手怖い。駒得の実利も大きく、いい勝負だ。
△22角と引いても同じ筋で攻めれる。この攻め方も有力だが△22角の場合いろいろある。
例えば▲65歩だ。
△65同桂は▲22角成△同玉▲24歩△同歩▲23歩が痛い。△23同玉に▲53桂成△同金▲51角がある。△44角なら▲65歩に△同桂で問題なかった。
▲65歩に△44歩なら▲13歩と垂らす。△同香なら▲64歩として▲24歩△同歩▲14歩を狙う。
ただこのタイミングの▲13歩は手抜かれる。それを嫌うなら▲13歩△同香▲65歩が良いだろう。それはそれで後手に手段が増えるので何とも言えない。
①△42金右に▲45歩の仕掛けはどの変化も難しそうだ。棋風にもよるが、後手は▲75歩には△84飛と浮かず△65歩からの攻め合いに活路を見出したい。
このとき歩の数が大きいので先手も気軽に▲15歩を入れられない。
後手は①△42金右を選んでも十分に戦えると思う。しかし難しい部分が多い。第2図に戻って②△22玉の変化を見てみたい。
第6図