すぐ役立つような戦術を紹介したい。
今回は相掛かり腰掛け銀の将棋だ。
▲97角とのぞく
手順 ▲97角。
図から▲76歩△86歩▲同歩△同飛▲87歩△82飛となれば先後同型になる。よくある進行だ。
▲97角とのぞくのが面白い一手。後手が8筋歩交換を保留しているのを咎めている意味もある。
△64歩を受けるなら△63銀か△62飛、△84飛。または△64歩を見捨て、手得を主張する将棋にするかに分岐する。
△64歩を受けた場合
手順 △63銀▲45銀△33金▲76歩△94歩▲88角。
▲97角に△84飛は、▲75角△74飛▲66角△同角▲同歩△84飛▲65歩で先手ペース。△65同歩は▲75角だし、△65同銀▲同銀△同歩も▲75角△54飛▲45銀で馬が作れる。
▲97角に△62飛は▲25飛と浮いて、今度は△85歩が受けづらい。
受けるなら△63銀だが、銀を引かせたので▲45銀と出ることができる。△33金と受けさせて、▲76歩から駒組する。
先手は将来▲88角と戻ることになり、▲97角→▲88角で2手損になるが、後手も△54銀→△63銀で2手損なので手の損得はゼロになる。
▲97角には、△63銀と引かせて▲45銀と出る意図があった。
後手は△64歩を見捨てる方が有力
手順 △52金▲64角△42銀▲68銀△33銀。
▲97角に△63銀は▲45銀を許し、先手の主張が通る。後手は△64歩を見捨て、歩の損得よりも手得を主張するのが有力だ。
△52金▲64角△42銀と駒組する。▲68銀に△33銀から駒を押し上げていく。
△33銀に代えて△63金▲75角△74歩▲66角となったとき、△同角はNG手だ。先手は角の動きが手損の原因なのに、その角と交換しては後手の主張がなくなる。△66同角ではなく△33銀ー△44銀と角を目標にする指し方が有力だ。▲68銀に単に△33銀はそれと似た意味だ。
序盤について
手順 △14歩。
▲97角に至るまでの手順を見ていきたい。
▲97角の局面は相掛かりの中では珍しい局面で、▲96歩に△14歩から始まる。
対して▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲28飛△34歩▲46歩△64歩▲47銀△63銀▲56銀△54銀と進んで▲97角の局面になる。
▲96歩ー△14歩の交換は、持久戦模様になると将来▲95歩の位が取れそう。そのため▲24歩から歩交換し、ゆっくりした展開を目指したものだ。
一方で、ゆっくりした展開だと先手の利がなくなる、という考え方がある。そのため先手の利を生かすべく、△14歩に▲36歩△86歩▲同歩△同飛▲58玉とする将棋が多い。今はこちらをメインに研究されている。
こちらの記事が進行例だ。
どちらが良いとも言えないので、自分の好きな展開を選ぶと良いだろう。