先手三間飛車の課題局面について考えてみたい。
先にこちらの記事から見ていただくと、より理解が深まります。
課題局面
△54歩と突いた局面が一つの課題局面だ。
この課題局面に至るまでの手順をさらっと振り返りたい。
▲67銀に△54歩と突けば先手のトマホークを警戒できる。▲67銀に△22玉と囲いを急ぐと、先手の角道のラインに玉が入るので、藤井システム調の将棋を目指せる。
▲56銀に△12香は、▲45銀△84飛▲36歩△11玉▲37銀△22銀▲46銀△32金▲35歩のように動いていく。▲56銀△32銀の場合、▲45銀だと、△84飛▲36歩△24歩▲37銀△23銀▲46銀△44歩が間に合って先手失敗。
△32銀の場合は▲45銀と出ずに▲36歩ー▲37桂と駒組して、課題局面になる。
課題局面から▲25歩と仕掛けるか、▲47金、▲27銀、▲68飛など駒組するかに分岐する。
▲25歩の変化
手順 ▲25歩△同歩▲同桂△42角▲65歩△33桂。
まずは▲25歩の変化だ。対して△44歩や△12玉も考えられるが、▲24歩と取り込まれ形を乱される。強く△25同歩と取りたい。
▲25同桂△42角▲65歩が気持ち良い王手だが、△33桂と受けられて後続が難しい。
最終図以下▲同桂成は△同角▲同角成△同金で、先手陣の方がキズが多い。
▲39玉と引いて△24歩と打たせてから▲33桂成△同角▲同角成△同金の方が勝るが、やはり先手陣にキズが多い。以下▲77角も△44角と合わされて効果は今ひとつだ。
すぐの▲25歩は、先手あまり自信持てない。
▲27銀の変化
手順 ▲27銀△44歩▲38金△53銀▲39玉△43金右▲28玉。
▲27銀の変化だ。▲25歩をちらつかせ、後手の駒組を牽制している。
▲27銀に△12香は、▲38金△11玉▲25歩△同歩▲同桂△22角▲26銀△24歩▲79飛と進んで、次に▲29飛と回れば理想形になる。
▲27銀に△44歩は妥協した手だ。突っ張るなら△55歩▲47銀△64歩▲38金△63銀だが、△55歩を目標にされるので一長一短だ。
△44歩で後手の角道が止まったことに満足して先手は駒組する。
最終図は一局の将棋だ。後手は△12香ー△11玉ー△22金ー△42金ー△32金右と囲いたいが、時間がかかる。その前に先手はアクションを起こしたい。
先手の工夫 ▲47金
手順 ▲47金△44歩▲68飛△53銀▲65歩△43金右▲25歩△同歩▲同桂△42角▲45歩。
▲27銀は2筋に圧力をかけた手だが、先手玉が薄くなるキライがあった。
▲47金は玉の固さをキープしつつ、上部を厚くした手だ。対して△55歩は、▲67銀△64歩に▲56歩△同歩▲58飛とスムーズに反発できる。
▲47金に△44歩と止める手には、▲68飛△53銀▲65歩△43金右に▲25歩が成立する。▲27銀の変化より先手玉が固い。
最終図は先手十分だ。
▲47金に△12香の変化
手順 △12香▲58金△11玉▲79飛△42金右▲29飛。
▲47金に△12香の変化を見ていきたい。
対して▲25歩と仕掛けると、△同歩▲同桂△42角▲65歩△31玉で先手失敗。△12香が得になっている。△11玉と囲ってくれた方が先手は攻めやすいので、焦る必要はない。
▲58金が面白い一手。△11玉に▲79飛ー▲29飛と転回し、攻めを見せる。
最終図はこれからの将棋だが、先手はガンガン攻めれそうなので楽しそうな将棋だ。
▲27銀△44歩の進行は穏やかな展開になるが、▲47金なら△44歩でも△12香でも先手が先攻する展開になりやすい。
先手も後手も試行錯誤している課題局面だ。