脇システムは昔から長く指されている戦型だ。昔からの定跡が今も通用する場合もあるし、進化した定跡もある。

脇システムは後手が望んでなる将棋で、現代将棋では急戦調の将棋を後手は好む傾向にある。

矢倉の駒組はいろいろある。

まずは△34歩に対して、一時期は▲66歩が多かったが△85歩▲77銀△62銀から△64歩から急戦を目指されて6筋が争点になる。

これを嫌って5手目▲77銀とする将棋に戻った。

▲66歩の前は▲77銀が常識だった。▲77銀→▲66歩→▲77銀となったわけだ。

ここで先手は▲26歩と飛車先を伸ばす。これは自然な手だが、▲26歩を保留して駒組する時期もあった。

早めに▲26歩とつかないと後手からの急戦が怖い。反撃の含みがある分、対応しやすくなる。

▲26歩に対して後手は分岐点。△74歩から急戦調の将棋にするか、△42銀からじっくり駒組するか。ここは棋風によるだろう。

若手は△74歩と急戦策を好み、ベテランは△42銀としてどっしりとした将棋を好む印象だ。

△42銀▲25歩△33銀となって、角道が止まって急戦がしづらくなったので先手は駒組する。

△54歩を保留するのは風変りだが、これもよくある工夫だ。

後手が△54歩とつくと5筋が争点になり、▲46歩ー▲37桂ー▲66銀と今度は先手が急戦を目指しやすくなる。△54歩を保留することで警戒している。これは5手目▲66歩と考え方が通ずる。

▲79角を見て急戦策がなくなったので、△54歩とつくことができる。

本線から逸れて、後手が△14歩とつく手もある。両端の交換が入ると△54歩とつきやすくなる。

先手が急戦を目指し、▲55歩と仕掛けた変化で後手に得な変化が多く出る。「戸辺チャンネル」から参照。

序盤の△14歩が緩手になる恐れを心配するが、△22角といる状態で▲46歩から急戦を目指すと△31角を保留できていて、仕掛けを牽制できることもある。

△43金右はプラスの手だが、先手に土居矢倉を目指される可能性がある。

▲67金左ー▲78玉で土居矢倉の完成だ。先手陣はバランス重視の構えで角交換をしやすい。

対して後手は偏っているので、▲41角や▲61角の筋がある。

お互い土居矢倉に組めた場合、最終図は先手が打開するのは大変だ。後手陣にスキがないので受けの構えには適している。

先手は後手が△43金右と形を決めたのを見て、▲67金左を目指したいところだ。

△64角は牽制した手。

先手は▲37銀から▲35歩と歩交換をして、▲46角ー▲36銀ー▲37桂とできれば理想の形にできる。

▲35歩のとき△35同歩▲同角△36歩▲46銀△45歩を用意している。

先手も▲46角と角をぶつけ、ここで後手が△53銀から△73桂とするか、△73銀から同型にするかの分岐点になる。

第1図

矢倉で玉側の端をつくと棒銀で狙われるのが通説だが、玉側の歩をつかないと▲15桂と打つスペースがあるなど玉が薄い。

端歩を保留して△84銀から攻めても反撃がきつく、△14歩とつくと先手から攻められる。

脇システムは先手の利が最大限に生かされる作戦だ。そのため第1図の前で後手が変化する将棋も多い。しかし実際は第1図になっても難しい将棋だ。

ここから①▲64角 ②▲26銀が考えられる。

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