テーマ図

今回は▲79角と引かずに▲37銀と繰り出す将棋を検討したい。

テーマ図の手前、△73桂に▲79角△85歩▲68角と8筋を守る手が前例が多い進行だ。これなら△65桂に▲66銀とかわしておいて後手は8筋の歩交換ができない。

△73桂と△85歩の両方指されてからでは、もう▲79角と引く将棋ではなくなっている。今回検討する将棋は▲37銀の繰り出しを急ぎ、▲88角型のまま戦う思想だ。

△65桂と跳ねる変化

手順 △65桂▲66銀△86歩▲同歩△同飛▲87歩△76飛▲46銀。

△65桂と跳ねる手を後手は指してみたい。▲68銀と引くのは、△88角成▲同金△86歩▲同歩△同飛▲87歩△76飛で後手指せる。よって▲66銀とかわす。

△86歩▲同歩△同飛▲87歩に△76飛と取る。次に△57桂成を狙っているので、▲46銀と受ける。

ここで後手に2つの方針が考えられる。

▲46銀に△86歩と合わせる

手順 △86歩▲同歩△同飛▲87歩△85飛▲35歩△同歩▲24歩△同歩▲同飛。

一つは△86歩と合わせる手だ。

次に△78飛成▲同飛△87歩成がある。△86歩に▲69玉と寄っても△75歩で次に△78飛成▲同玉△87歩成▲同玉△76金▲78玉△86歩を狙われると結局▲86歩と取ることになる。▲69玉と△75歩の交換は後手が得するので、単に▲86同歩と戻す。以下△86同飛で後手は飛車を8筋に戻すことができた。

▲87歩に△85飛と引くのは、横利きを生かして将来の▲35歩△同歩▲同銀を警戒した手だ。

じっとしていると先手は一歩損なので、▲35歩△同歩▲24歩△同歩▲同飛と動いていく。

△23歩は▲64飛と回られる。後手は▲64飛をどう受けるか。

手順 △63銀▲28飛△23歩▲65銀△88角成▲同金△65飛▲77桂。

△63銀と上がって受けるのが自然な手だ。しかし▲28飛△23歩に▲65銀と食いちぎる手が成立する。

△88角成▲同金に△65歩は▲73角と打ち込んで先手指せる。

▲88同金△65飛には▲77桂が好手だ。△67飛成は▲45角、△75飛は▲73角で先手指せる。

△63銀▲28飛には△36歩と伸ばして▲24歩に△44角を用意するのが勝り、一局の将棋だ。

手順 △73銀▲56歩△23歩▲28飛△42銀▲55歩△33銀▲35銀△62金▲77桂△同桂成▲同角△34歩▲46銀。

△63銀と上がると、▲28飛△23歩▲65銀が成立した。▲28飛に△36歩なら難しいが、後手が頑張っている感じがある。

△73銀と上がれば▲73角のキズがない。ただ、形は良い格好と言えないので一長一短だ。

すぐ▲35銀と出ると△57桂成があるので、▲56歩ー▲55歩と止めてから▲35銀と出る。後手は△73銀の格好なので5筋が薄い。△63銀型で▲56歩ー▲55歩の局面になるなら後手作戦勝ちだ。▲35銀の棒銀に対して後手は△33銀と対抗する。これで2筋は受かる。

△62金に▲24歩△同銀▲同銀△同歩▲同飛△23歩▲34飛△33歩▲36飛△14歩で、銀交換は後手の得だ。△76銀のキズがある。

▲77同角△34歩に▲24歩は△同歩▲同銀△同銀▲同飛に△76銀がある。以下▲86角△65歩▲57銀△66歩▲同銀△86飛で後手良し。▲同歩は△15角の王手飛車だ。△86飛の前に6筋を突き捨てておくことで、△86飛▲22飛成△同金▲86歩となって、将来▲81飛のとき△61歩の底歩を用意している。

最終図はこれからの将棋。どちらを持ちたいかは棋風によりそうだ。

▲46銀に△44歩と突く

手順 △44歩▲68玉△86歩▲同歩△同飛▲87歩△85飛。

すぐ△86歩と合わせる変化も一局の将棋だったが、△44歩はさらに得しようとする手だ。次に△45歩▲同銀△57桂成を狙っている。

△44歩▲69玉は△45歩▲同銀△66角で後手良し。▲68玉と上がるが、そこで△86歩と合わせる。▲58金と上がると、△78飛成▲同玉△87歩成▲同玉△86歩▲同玉△78金で後手良し。△86歩は放置できない。

▲86同歩△同飛▲87歩△85飛となって8筋に飛車が戻る。

単に△86歩と合わせた変化と比べて、違いは▲68玉と△44歩が入っているかどうかだ。▲59玉型に比べて▲68玉の格好は、△76桂のキズや△75歩ー△76歩と伸ばしたとき先手玉が7筋に近いなど、後手にプラスが多い。

手順 ▲35歩△45歩▲37銀△42銀▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲34飛△43銀▲64飛△54銀▲74飛。

先手が何もしないと、△63銀ー△62金や△42銀ー△43銀で後手の形が良くなる。先手は一歩損しているので早い動きをしたい。▲35歩と仕掛ける。

▲35歩に△45歩▲37銀と追って、ここで後手は何を指すか。

△35歩は一案で、▲24歩△同歩▲同飛△63銀に▲65銀が気になるが、△同歩▲22角成△同銀▲73角△62金▲91角成に△66歩もなかなかの手だ。ただ、△35歩は▲24歩が見えているだけに素直すぎる感じがある。

▲37銀に△42銀は▲34歩なら△43銀と上がって形が良い。先手は▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲34飛△43銀▲64飛と回る手が有力だ。以下△54銀に▲65銀は△88角成▲同金△65飛▲同飛△同銀▲44桂△42金で耐えている。▲22飛には△54角で受かる。

△54銀には▲74飛と取ってどうか。先手の飛車が狭いが、△65桂が不安定なので先手指せそうだ。

手順 △63銀▲65銀△88角成▲同金△65歩▲73角△62金▲91角成△66歩。

▲37銀に△35歩も△42銀もあるが、後手指せるとは言えない。△63銀と上がる手はどうだろう。

▲34歩なら△62金か△75歩で、一歩を犠牲に後手の駒が前に進む。歩の損得はなくなるが、先手玉が7筋に近いので▲76歩を取っているの方が価値が高い。歩の価値は玉の位置が影響する

△63銀を見たら▲65銀としたいが、最終図△66歩は急所の手だ。▲同歩は△76角がある。

▲65銀とできないとなると、駒組になり局面が落ち着く。長い戦いになると△65桂と跳ねている分後手が指せる。この順は後手有力だ。

▲37銀に△63銀から駒組する変化

手順 △63銀▲69玉△62金▲58金△42銀▲46銀△44歩▲35歩△45歩▲同銀△86歩▲同歩△55角▲18飛△35歩。

△65桂と跳ねる変化は後手有力だったが、△63銀から駒組する変化も一局だ。

▲46銀を見たら△44歩と対抗する。この戦型においてセットの手だ。この変化はこちらの変化と似た考え方だ。▲79角と引くと常に△65桂があるので先手は▲88角のまま戦う姿勢だが、▲77銀が邪魔して使いづらい印象だ。

▲35歩に△45歩と突く。▲同銀に一回△86歩と突くのが好手。▲86同銀は△88角成▲同金△55角があるので、このタイミングなら▲86同歩に限定できる。

最終図△35歩と戻した図は後手不満ない。将来△85歩の継ぎ歩攻めが狙える。

▲69玉ー▲58金と手を入れると早めに▲36歩ー▲37銀とした甲斐がないので、生かすなら▲56歩ー▲46銀だろう。

手順 ▲56歩△62金▲46銀△65桂▲66銀△86歩▲同歩△同飛▲87歩△81飛。

▲46銀に△44歩は▲35歩△45歩▲同銀△35歩▲34銀で後手の手が遅れている。▲46銀に△52玉と駒組する手も考えられるが、△65桂が一番積極的な手だ。

▲66銀△86歩▲同歩△同飛▲87歩に△76飛は、今度▲55歩で後手の角道が止まるので△76飛が生還できない。

最終図は一局。後手番としては不満ないだろう。

△65桂と跳ねるか、△63銀と駒組するかは好みによる。いずれも後手不満なし、とみたい。

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