テーマ図
今回は▲56歩△54歩型の相雁木同型を検討したい。相雁木は▲56銀△54銀の将棋が多い。その将棋は先手が打開できるかがテーマになる。その将棋はこちらで検討した。
今回の▲56歩△54歩型は▲56銀型と違って▲68角と引く余地がある。テーマ図から▲68角に△42角と合わせてくれれば▲35歩△同歩▲45歩や▲45歩△同歩▲35歩と仕掛けることができるが、▲68角と引いた瞬間、後手の角を生かして△75歩▲同歩△65歩▲同歩△45歩のように先攻できる。
後手は先攻できる格好だ。先手は後手の攻めに対応できるか。
手順 ▲68角△65歩▲同歩△45歩▲77角△46歩▲同銀△77角成▲同桂△75歩▲24歩△同歩▲66角△86歩▲同歩△76歩。
テーマ図の直前、▲79玉に代えて▲68角もあるが、△31玉▲79玉で結局テーマ図に合流する可能性がある。
△31玉の他に△65歩の仕掛けも考えられる。後手は▲68角と引いた瞬間が先攻のチャンスだ。
▲65同歩△45歩で、▲77桂は△86歩▲同歩△同飛▲87歩△81飛で△66歩が残る。
▲77角には△46歩▲同銀△77角成▲同桂△75歩と攻める。これに▲同歩と取ると△86歩▲同歩△66歩▲76銀△86飛で、▲87金は△76飛▲同金△87角。▲87銀は△同飛成▲同金△67歩成▲同金△47角で後手優勢だ。
▲66角は味の良い設置。次に▲11角成と▲44歩を狙っている。△44歩と受けても▲45歩で受けにならないので、△86歩▲同歩△76歩から攻め合いになる。
最終図以下▲76同銀は△86飛▲87金△76飛▲同金△87角で後手優勢だ。手抜いて▲44歩と攻め合ってどうか。
▲68角と引いた瞬間△65歩の仕掛けは有力だ。この変化を警戒するなら▲68角と引かず、▲79玉△31玉となってテーマ図になる。
手順 ▲68角△42角▲35歩△同歩▲45歩△同歩▲35角△65歩▲同歩△33角▲64歩△72銀▲44歩△同銀▲57角。
テーマ図から▲68角と引く。次に▲77桂と跳ねる手が後手の角のラインをケアして大きい手だ。
△42角と同型を維持する手に▲77桂は価値が低い。△75歩▲同歩△65歩と仕掛けて後手が主導権を握る。むしろ▲77桂が目標になっている。△33角型では▲77桂は大きな手だが、△42角型ではマイナスになる。相手の陣形に応じて指し手の価値が変わるので、注意深く見る必要がある。
△42角には▲35歩と仕掛けていく。先に▲45歩△同歩▲35歩でも合流する可能性が高いが、△65歩▲同歩△33角のラインが復活するので▲45歩を後回しにした方が勝りそうだ。
▲35同角に△65歩▲同歩△33角が待望の反撃。このラインは受けづらい。▲64歩で、△同銀なら▲66歩△65歩▲45桂と跳ねて先手良しになる。▲66歩と打たれると先手陣が固くなるので△72銀と引くが、この利かされは大きい。
▲44歩と強引に角道を止め、△同銀▲57角となった最終図は次に▲36銀から▲45桂の攻めを目指す。▲64歩△72銀が入るのは大きく、先手十分。
手順 △75歩▲同歩△65歩▲同歩△45歩▲88金△55歩▲45桂△42角▲55歩△75角▲15歩△66歩▲76銀△42角▲14歩△74銀。
▲68角と引いた瞬間に△75歩▲同歩△65歩と先攻する。▲同歩に△45歩と角のラインを開ける。このラインが受けづらい。▲77角は△65桂▲33角成△同桂▲66歩△46歩▲同銀△45歩で攻めが続く。▲77桂の受けには△95歩▲同歩△86歩▲同歩△95香▲同香△86飛が、△66歩と△96飛の両方を見て後手好調。
▲88金はつらい辛抱だ。△55歩▲45桂△42角▲55歩は面倒を見る指し方だが、△75角と歩を補充できる。△55歩では△65桂▲66歩△64銀の活用も有力。
▲15歩に△同歩は▲12歩△同香▲13歩△同香▲14歩△同香▲24歩△同歩▲同飛の十字飛車の狙い。後手は手抜いて△66歩▲76銀△42角▲14歩△74銀と攻め合ってどうか。
▲88金の壁の格好と△66歩の拠点が大きく、先手指しきれない。
▲88玉と入る変化
手順 ▲88玉△22玉▲68角△75歩▲同歩△65歩▲同歩△45歩▲77桂△65桂▲45桂△44角▲66歩△77桂成▲同金。
一回▲88玉と入る手もある。△22玉と入ったらそこで▲68角と引く。後手も△42角と引くと、▲35歩△同歩▲45歩と仕掛けて先手十分。
やはり▲68角と引いた瞬間が怖い。しかし今度は△75歩▲同歩△65歩▲同歩△45歩に▲77桂と受けることができる。▲79玉型では△95歩▲同歩△86歩▲同歩△95香▲同香△86飛で後手良しだったが、▲88玉型なのでこの攻めはできない。
▲88玉型は後手の角のラインに入るが、後手の△22玉も当たりが強くなっているのでお互い様だろう。
最終図は後手に攻められているようだが、▲45桂が捌けていて反撃の含みがある。先手にも楽しみがある。
手順 △42角▲45歩△同歩▲35歩△同歩▲65歩△33桂▲15歩△65歩▲14歩△86歩▲同角△同角▲同歩△87歩▲同金△85歩。
▲88玉に△42角と引く手も考えられる。▲68角と引くと△75歩▲同歩△65歩で後手十分。先手も後手も▲68角や△42角と角を引いて、次に仕掛けることができれば十分だ。
△42角に▲45歩△同歩▲35歩と仕掛けていく。▲35歩△同歩▲45歩もあるが、△86歩で、▲同歩は△85歩、▲86同角は△45歩の変化を与える。▲45歩△同歩▲35歩の順番なら△86歩▲同歩△85歩に▲65歩と反撃できる。
▲88玉型は△35角のラインや△29飛と打ち込みには強いが、上部の当たりが強くなる意味がある。▲79玉型では△86歩▲同歩△85歩の攻めは、次に△86歩と取り込んでも▲88歩と受けることができるが、▲88玉型では受けることができない。▲88玉型で△86歩▲同歩△85歩の継ぎ歩は常に狙いたい。
▲45歩△同歩▲35歩△同歩▲65歩に△22金は形が悪く指しきれない。▲45桂△44歩▲46銀△45歩▲35銀と活用して先手指せる。
△33桂に▲15歩は何度も出てきた筋。後手は取ることができないので、△65歩▲14歩△86歩から攻め合いが予想される。こうした展開は▲88玉を咎めている。
△86歩に▲86同歩は△87歩▲同金△85歩の攻めがある。▲86同角にも△同角▲同歩△87歩▲同金△85歩の継ぎ歩攻めがある。▲85同歩は△86歩▲同金△64角の狙いだ。
最終図以下▲44歩△同銀▲64歩△86歩▲同金と、△44角と△64角のラインを消してどうか。▲14歩の取り込みも大きいので、形勢は難しい。
テーマ図
テーマ図。▲68角と引かずに▲35歩△同歩▲45歩は△34銀。▲45歩△同歩▲35歩は△44角と面倒を見られる。▲68角と引いて、次に▲35歩△同歩▲45歩と仕掛けたいが、▲68角と引いた瞬間に△75歩▲同歩△65歩と先攻されるのが気になる。
一回▲88玉と入り、△22玉には▲68角と引く。▲88玉に△42角は▲45歩△同歩▲35歩と仕掛ける手もある。▲88玉と△22玉は上部が厚くなっている意味も、当たりが強くなっている意味もある。
▲56銀ー△54銀型の相雁木の将棋が多いが、▲56歩ー△54歩型の相雁木も面白い。どちらが主導権を握るか、テーマ図から緊張感がある。