奨励会1級のときに指した将棋を紹介します。

この局面は相掛かりの中盤戦に入ったところで、先手の私が79から▲88玉と入城したところ。駒の損得、効率は同じぐらいだが、玉の固さは守りの桂がいないとはいえ、綺麗な銀冠に組めている先手に分がありそう。よって、若干先手の作戦勝ちだろう。ここで後手はどう指してくるか。

△75歩▲同歩△74歩。

△75歩~△74歩が急所の攻め筋。ほっとくと△75歩で7筋の位が奪われてしまうが、▲74同歩とすると△75桂が両取りになってしまうため取り返すことができない。

適当な受けもないので反撃したい所だが、どのように攻めるべきか。

▲35歩△75歩▲34歩△同銀▲33歩△同金▲55桂。

筋良く▲35歩と突っかけていったが、ここは▲55桂と打つのが優った。後ほど解説する。

▲35歩に△35同歩と取るのは利かされ。▲45歩△75歩▲44歩と進み、次に▲43歩成~▲55桂の筋があるので△44同銀と取り返したいが、▲22歩が厳しい。△22同玉は▲24歩で十字飛車の筋があるためまずいし、△22同金は▲34桂で縛られしまう。

よって、本譜は▲35歩を無視して△75歩とされ、▲34歩△同銀▲33歩△同金と進んだ。ここでもう一歩あれば▲35歩△同銀▲34歩△32金▲33桂という絡み方ができるが、実際は歩が足りないので△33同桂▲同歩成△同金の時に▲34歩と打てずに攻めが切れてしまう。本譜は仕方なく▲55桂と打ったが・・・

△55同銀▲同銀△85歩▲同歩△86歩▲同銀△74桂▲77銀△69角。

▲55桂に△55同銀と取られて後手に攻めのターンを与えてしまった。△85歩〜△74桂で大きな拠点を作られてしまい後手ペースに。

最後△69角に代えて△86歩と垂らして玉頭に拠点を作った方が厳しかった。次に△43桂から銀を入手すればいつでも△87銀と打ち込むことができる。本譜の△69角には▲58銀と打って角を捕獲すれば大変だったが、実戦では▲22歩△同玉▲41角△73金▲34歩△24金と攻めたが、軽くかわされて不利に陥った。そのまま盛り返すことなく完敗となったが、▲55桂を早めに打っていたらどうなっていただろうか?

▲55桂△62金▲35歩△75歩▲74歩△76桂▲97玉△94歩▲34歩△同銀▲51角△95歩▲73歩成△92飛▲85歩。

▲55桂に△55同銀▲同銀△83桂も考えられるが、▲64銀△同金▲73角で先手有利。よって、△62金と逃げるが、その交換を入れて▲35歩なら本譜と比べて得だった。後手も▲35歩は無視して△75歩とするが、▲74歩が好手。▲51角や、▲71角~▲62角成~▲73歩成の筋を狙っている。後手は拠点を生かして△76桂と王手するが、▲97玉△94歩に▲34歩△同銀▲51角で対応。以下△95歩▲73歩成△92飛▲85歩まで進むと先手の入玉が見えてくる。こうなれば指しても分かりやすく、先手が勝ちやすいだろう。

中盤では筋が良いというだけで指すのは危険。しっかり読みを入れないといけませんね。

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