三段リーグで指した将棋を振り返りたい。

下図の問題図はお互い残り10分を切っていて、読みの勝負となった。

問題図(△55銀とした図)

問題図は先手が私で、後手が相手だ。本当は私が後手だが、見やすいように先後逆で検討したい。

序盤でこちらがしくじったが、中盤で盛り返し、問題図は寄せがあるかどうかという局面だ。

▲91馬に△55銀と、▲64馬を防ぎつつ飛車取りに打ってきた図だ。

ここで、三択問題を出したい。結論から言うと、どの手を選んでも先手が足りない。実戦で勝負するならどの手を選ぶか、という視点で考えてほしい。

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三段リーグ

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△55銀と打ってきた局面。先手は何を指す?

▲53銀の変化

手順 ▲53銀△32玉▲52銀不成△同金▲33香△同桂▲同桂成△同玉▲45桂△32玉▲33金△21玉▲64馬△同銀▲同飛。

▲53銀が目に付く。△同金▲同桂成△同玉なら▲56香とする狙いだ。

▲53銀△32玉▲52銀不成に△66銀は▲41銀不成△同玉▲69歩と一回受けておいて先手良し。▲69歩を打たずに▲64馬を急ぐと、△49竜▲同玉△48銀以下詰む。

よって△52同金になる。対して▲33香△同桂▲同桂成△同玉▲45桂と迫る。

△32玉▲33金に△41玉は▲73馬の詰めろが嫌。△21玉に▲64馬△同銀▲同飛とした最終図は後手が怖い。

実際には、最終図から△32香として足りないかもしれない。だが後手は神経を使い、間違えやすい展開だ。

手順 △53同金▲同桂成△32玉▲26飛△46桂。

▲53銀に△32玉と逃げるのは際どい勝負になる。一回△53同金と取り、▲同桂成に△32玉が正しい応手になる。これなら▲33香の打ち込みがない。

▲26飛と逃げるくらいだが、△46桂が痛打。▲同歩△47銀で寄りだ。

▲53銀は後手に正しく応じられると、簡単に負けになってしまう。

▲56香の変化

手順 ▲56香△66銀▲64馬△32玉▲52香成△68飛▲48銀打△26桂。

次に▲56香はどうか。△66銀▲64馬△32玉▲52香成に△同金は、▲33銀△同桂▲同桂成△同玉▲45桂△32玉▲31馬△同玉▲32金以下詰む。

しかし▲52香成に△68飛の合い駒請求が痛い。▲48銀と節約したいが、△49竜以下容易な詰みだ。

▲48銀打または▲48金打には△26桂が好手だ。▲同歩は△49竜で、▲同玉は△27角以下詰みなので取れない。△26桂に▲28玉も△49竜とボロッと駒を取られる。

これも先手負けだ。

本譜▲64馬 これが一番際どい勝負にできる

手順 ▲64馬△同銀▲同飛△63歩▲33銀△51玉▲72銀△33桂▲同桂成△62玉▲74飛。

本譜は▲64馬とした。対局中は▲53銀と▲56香の変化も結論が出なかったが、勝負するなら▲64馬だという直感があった。

▲64同飛に対して、▲33銀の筋をケアするなら△55角という手もあった。ただ▲53銀△32玉▲61飛成の変化が生まれているので、局面が複雑で打ちにくさがある。その点△63歩はその後の進行を読みやすい。

△63歩▲33銀に△同桂▲同桂成△同玉は、▲45桂△42玉▲53銀で寄りだ。よって△51玉とかわすのが勝る。

▲72銀で挟撃を目指し、△33桂▲同桂成△62玉▲74飛とした局面がどうなっているか。

手順 △49竜▲同玉△85角▲76香△74角▲同香△53玉。

▲74飛と回られて、後手が直接受けるのは難しい。例えば△73歩だと▲71銀不成が好手。▲72銀が挟み撃ちの駒として役立っているので、この▲71銀不成が見えづらい。以下△同玉は▲73飛成△72桂▲82金△61玉▲72金△51玉▲53桂で受けなし。▲71銀不成に△72玉も▲82金△61玉▲73飛成で一手一手だ。

▲74飛に後手は△49竜と切り札を出す。▲同玉に△85角が王手飛車だが、▲76香で受かる。△74角▲同香で、先手玉が詰まず先手勝ちかと思いきや、△53玉で上部脱出を目指すとむしろ後手が指せる。

△53玉に代えて△85角▲38玉△74角は先手玉が一瞬遠くなるので、▲82角と攻めに転じて先手指せる。

△53玉に▲55金と打ちたいが、△69飛▲59桂△54金で先手が足りない。

△53玉の図は正しくは先手が足りないが、▲38玉や▲66飛など手段はまだあり、実戦だと何が起こるか分からないだろう。

局面の結論と反省

局面の結論は、△55銀と打たれた図はどの順を選んでも先手が足りなそうだ。その中でも一番勝負できる▲64馬を選んだ判断は良かった。

しかし本譜は▲74飛が見えず、▲72銀△33桂に▲63銀成と指してしまった。以下△45桂に▲53金で勝ちという読みだったが、▲63銀成に△85角が絶好手。はっきり負けにしてしまった。もう少しバチバチした将棋にしたかっただけに悔やまれる。

問題図はいつでも△49竜から詰ます筋があるので、相手に何枚渡して良いかをずっと計算しなければならない。単に相手玉を寄せるだけなら容易だが、自玉との兼ね合いを読むと一気に難しくなる。その読みの煩雑さが、▲74飛が見えない、というミスに繋がった。

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