研究会の将棋を振り返りたい。
奨励会(三段リーグ)や公式戦以外の日は、仲間同士で研究会を行い、腕を磨いている。研究手を試す絶好の機会であり、お互い妥協しないので、よく好局が生まれる。
研究会の将棋を反省しつつ、終盤の面白さを紹介できたらと思う。
問題図(△77金の図)
先手が私で、後手が相手だ。本局は、三間飛車に対するテーマ図をぶつけた。後手は△92香ー△91飛という工夫を見せ、均衡を保ったまま終盤戦になった。こうした相手の工夫を見て、家でまた研究できるのも研究会の意義だ。
研究会の持ち時間は短めでやることが多い。今回は20分30秒で指した。研究会ではこれが一番多い持ち時間だろう。研究会によっては、30分30秒、30分60秒、40分60秒、90分60秒などのケースもある。
問題図は△77金と打ち込んだ局面。先手はどう対応するのが良いか。
三択問題を出したい。
▲89飛が正着で、先手勝っていそう
手順 ▲89飛△78金▲86飛△83歩▲66角△77桂▲同角△同金▲85桂△64角▲65桂△62金左▲53角。
▲89飛が勝る。△88歩は▲同金で固くなる。以下△同金▲同飛△77角成は、▲93角成△73玉▲84馬△64玉▲78金と冷静に受けておけば先手優勢。
▲89飛には、△78金▲86飛△83歩が強敵だ。焦って▲73銀は詰まない。角を渡すと先手玉は△77角以下の詰めろになる。△83歩にじっと▲66角と引くのが好手だ。
詰めろをかけるには△77桂だが、▲同角△同金で先手に手番が回るので、▲85桂と置いておく。この手自体は詰めろではないが、先手玉に詰めろが来ないことを見切っている。▲65桂は△95香で後手指せる。▲85桂に△95香なら、▲93角と打って先手良し。同じようだが、端に利かしておいた方が得だ。
▲85桂に△78金は詰めろだが、▲66角が攻防手になる。
▲85桂に△64角は攻防手だが、▲65桂△62金左▲53角とねじ込んで先手良し。以下△86角は▲73銀以下詰み。△53同角は▲73銀から寄り筋になる。
先手玉が危険なのに、じっと▲66角と引いたり、後手玉が詰めろではないのに▲85桂と打ったり、距離感が難しい終盤戦だ。
▲28飛の変化
手順 ▲28飛△78金▲同飛△95角▲同角△同香。
▲28飛も考えられる。△87桂は、▲89玉でも▲同金△同金▲86銀でも後手自信ない。
▲28飛には△78金▲同飛△95角▲同角△同香と迫ってどうか。以下▲92歩△同香▲84桂だと、△87桂▲89玉△88歩▲同飛△99角から王手が続く。王手王手で上部を手厚くできるので、後手良しだ。
▲92歩△同飛▲93歩△同飛▲84銀とする順もあり、形勢不明だ。
▲28飛の変化は難解だが、▲89飛に劣る。
▲87銀の変化
手順 ▲87銀△97角成▲同香△85桂。
▲87銀では後手の攻めを防ぎきれない。駒を使うと後手玉に詰めろを掛けづらくなる。
△97角成▲同香△85桂が厳しい。▲65桂が何でもないので、△97桂成で先手負けだ。
局面の結論と反省
▲89飛と回るのが正着で、先手が勝っていそうだ。
しかし△83歩に▲66角と引く、▲65桂ではなく▲85桂と打つ、▲53角とねじ込む、など難易度が高い手が多い。
本譜は最善手を指せなかった。正解を指せないのは悔しいが、こうした面白い終盤に出会えるのも研究会の醍醐味だ。