今回は角換わりで、△63金型の右玉の将棋を検討したい。
目次
第1図 先手が一手パスできた場合
手順 ▲67銀△43銀▲28飛△41飛▲56銀△54銀▲58金△81飛▲47金△41飛▲48金△81飛▲58金△41飛。
テーマ図までの手順を振り返りたい。
▲67銀△43銀に▲28飛と調整する。
これに△42金と寄ると、▲56銀△54銀▲45歩と仕掛けて先手指せる。
こちらで検討した変化だ。
△42金に代えて△41飛は▲45歩の仕掛けを警戒した手だ。
▲56銀△54銀▲58金に△81飛と戻る。この局面はお互い最善形で、一手指すと崩れてしまう。お互いパスしたい局面だ。
一つは▲59金△51飛▲98香△81飛▲99玉と穴熊を目指す順。ただ、以下△42銀▲24歩△同歩▲同飛△65歩と後手に先攻されるのが気になる点だ。
もう一つは▲47金と上がる手だ。これに△51飛なら、▲45歩△81飛▲46金△45歩▲同金と前進して打開できる。
▲47金に△41飛は▲45歩を防いだ手だ。
▲48金と引いた手に対し、△51飛は▲45歩△41飛▲44歩△同飛▲47金と上がってどうか。
▲48金に△81飛と回れば反撃しやすいので▲45歩に△同歩と応じやすいが、▲58金と寄ると先手は一手パスできた計算になる。
金の動きで打開を目指す理屈については、こちらの記事で検討した。
今回は先手が一手パスできた場合の変化を検討したい。
▲58金に△43銀と引くと、▲45歩△同歩▲同銀と一歩交換して先手十分。後手は△41飛と回って待つ。
第2図 ▲17角と打つ変化
手順 ▲48飛△42銀▲45歩△43銀上▲17角△45歩▲75歩△同歩▲45銀△同銀▲同桂△44歩▲53桂成△同金▲74歩。
△41飛に▲48飛と回る。
このとき△81飛型なら、△42銀と引いて、▲28飛△33銀で千日手模様になる。
▲48飛に対して△81飛は、▲45歩△同歩▲同銀△同銀▲同桂△44銀▲75歩△同歩▲74歩△同金▲53桂成△同銀▲41角で先手優勢。
▲48飛△42銀▲45歩△同歩▲同銀△同銀▲同桂△44歩は、▲95歩△同歩▲92歩△同香▲83角で先手指せる。△81飛型ならなかった筋だ。
▲45歩△43銀上に▲17角と打つ。
以下△45歩▲75歩△同歩▲45銀△同銀▲同桂△44歩に▲53桂成と捨てる。△同玉は▲45歩が厳しい。
△同金になるが、▲74歩で桂馬を取り返せる。
最終図から△69銀は▲68金右と寄って対応できる。このとき▲17角に代えて▲26角と打っていると△78銀成▲同金△27金がある。
最終図から△76桂は▲同銀△同歩▲73歩成△同玉▲75銀と押さえてどうか。形勢は難しいが、後手玉が不安定なので先手が勝ちやすそうだ。
第3図 ▲75歩に△33桂と跳ねる変化
手順 △33桂▲74歩△同金▲45桂△44歩▲33桂成△同金。
▲75歩に△33桂と跳ねる変化も考えられる。
▲74歩△同金▲45桂△44歩▲33桂成△同金となって、先手がどう攻めるか。
すぐ▲45歩は△同歩▲同銀△44歩▲54銀△同銀と銀交換になって、先手の攻め駒が増えるが後手の反撃手段も増えるので一長一短だ。
一回▲76歩と打って傷を消すのもあって、以下△52銀に▲45歩△同歩▲同銀△同銀▲42歩(△同飛は▲54桂)と攻めるか、じっと▲28角と引くか。
いずれも難しい将棋だ。
第4図 ▲15歩の変化
手順 ▲15歩△同歩▲24歩△同歩▲44歩△同銀▲22歩△26角▲21歩成△37角成▲11と△48馬▲同金△81飛。
▲17角に代えて▲15歩と突く手を見ていきたい。
▲15歩△同歩▲24歩△同歩▲44歩△同銀▲22歩が先手の狙いだ。△同金には▲15香△同香▲42歩△同飛▲31角がある。
▲22歩を手抜いて△26角が好手だ。
▲21歩成△37角成▲11とで駒得できるが、△48馬▲同金に△81飛が冷静な手。次に△86歩や△86桂を狙っていて、後手指せる。
第5図 ▲44歩△同銀▲65歩の変化
手順 ▲44歩△同銀▲65歩△同桂▲84角△73角▲66角△43歩▲68銀△81飛▲67銀上。
他にも▲44歩△同銀▲65歩という攻め方もある。
公式戦での前例はないが、研究会では多く指された指し方だ。
△65同歩はまずく、▲55角△43歩▲44飛△同歩▲64歩で先手良し。
△65同桂には▲84角と打つ。
対して△73金は▲同角成△同玉▲65銀△同歩▲52金△43飛▲56桂で攻めが繋がる。△52玉と逃げるのも▲65銀△同歩▲44飛△同飛▲45歩△42飛▲44桂で先手良し。
△73角が勝り、▲66角△43歩(△77桂成▲同桂△43歩は▲85桂で先手良し)▲68銀△81飛▲67銀上となった図は一局だ。
最終図は先手の一歩損だが、角の働きが良いのが主張だ。
第6図 ▲65歩に△同銀の変化
手順 △65同銀▲45歩△33銀▲55銀△43歩▲46角△54銀▲64銀△同金▲同角△63歩▲46角△55銀打▲同角△同銀▲56歩△64銀▲83銀。
△65同銀はどうか。
これには▲45歩△33銀▲55銀と出る。△54歩は▲26角△52玉▲64銀△同金▲66歩で先手指せる。
△54銀は▲44歩が好手。△55銀には▲43歩成△同金▲32角がある。
△43歩は▲44歩を消した手だ。
以下▲46角△54銀▲64銀△同金▲同角△63歩▲46角△55銀打で角が取られるが、▲同角△同銀▲56歩と突く。
△56同銀は▲55金△65銀▲84銀で指せる。
最終図▲83銀と打った図の形勢は難しいが、後手の飛車と玉が近く、一緒に狙われる。一方先手玉は固いので、後手が勝ちづらい将棋だ。
▲44歩△同銀▲65歩と突く筋も先手有力だ。
まとめ
先手が一手パスすることで、後手の最善形を崩すことができる。
△41飛は▲45歩の仕掛けを警戒した手だが、8筋の玉頭の脅威がなくなるので、▲48飛と回って攻めに専念できる。
▲45歩△43銀上には▲17角、▲15歩、▲44歩△同銀▲65歩が考えられる。
▲15歩の変化は後手指せるが、▲17角と▲44歩△同銀▲65歩はどちらも有力だ。