今回は角換わりで、△63金型の右玉の将棋を検討したい。
先にこちらの記事からお読みいただくと、より理解が深まります。
目次
第1図 テーマ図
手順 ▲58金△32金▲56銀△54銀。
第1図から▲56銀△54銀▲45歩と仕掛けるのが有力で、先手指せる。
今回は第1図から▲58金△32金▲56銀△54銀となった局面を検討したい。
▲56銀△54銀▲45歩で先手指せるなら関係ない変化のように思われるが、直前の△42金に代えて△41飛とし、▲56銀△54銀▲58金△81飛とした変化と合流している。
第1図の最終図の局面に誘導するなら、△42金とするよりも△41飛と回る手順の方が良い。
第1図の最終図の局面は先手番だが、先手が一手パスできるなら嬉しい、という前提で検討したい。
第2図 ▲59金の変化
手順 ▲59金△51飛▲98香△81飛▲99玉△42銀▲24歩△同歩▲同飛△65歩。
▲59金と引く変化から見ていきたい。
代えて▲48飛が自然だが、△42銀と引かれ、▲45歩△同歩▲同銀△同銀▲同桂が銀に当たらないので△44歩や△37角と反撃されて失敗だ。
▲59金は手番を細かく調整する意味がある。
対して△41飛は▲68金右△81飛▲45歩の変化を与える。▲45歩と仕掛けずに▲58金と戻っておいても、先手が一手パスできている計算だ。
△51飛は工夫で、▲68金右なら△41飛で▲45歩の仕掛けを封じることができ、△41飛に▲58金なら△81飛で元の局面に戻る。
△51飛に▲98香△81飛▲99玉と穴熊に組む。
対して△51飛と待つのは、▲68金右△41飛(△81飛は▲45歩)▲88銀まで組んで先手十分。何もせずに穴熊に組まれると後手は作戦負けになるので、どこかでアクションを起こしたい。
△42銀と引いて▲24歩を誘う。
先手も▲24歩と行かずに▲68金右とすると△43銀上と立たれ、今度▲24歩△同歩▲同飛は△59角がある。2筋の歩交換ができない上に△43銀上の好形に組まれると先手は打開できない。
▲24歩△同歩▲同飛に△65歩と反撃する。
第3図 後手が攻める展開だが形勢は難しい
手順 ▲65同歩△95歩▲同歩△86歩▲同歩△85歩▲88玉△65桂▲85歩△77桂成▲同金△86歩▲79桂。
第3図から▲28飛は△66歩と取り込まれ、▲22歩△13桂▲21歩成△39角で後手まずまず。
途中△13桂と跳ねるのがポイントで、△33桂だと▲21歩成△39角▲22と△28角成▲32とと強く踏み込まれたとき、将来△33桂を取られる展開になる。これは先手指せる。
▲65同歩が勝り、△95歩▲同歩△86歩▲同歩△85歩と攻めてくるが▲88玉と上がって対応する。2筋が素通りなので△86歩に▲82歩と打てる格好だ。後手が攻めるのも容易ではない。
△86歩と取り込む前に△65桂と跳ね、▲66銀なら△86歩▲82歩△同飛▲21飛成△31金▲11竜△97歩▲同香△87歩成▲同金△99角で後手優勢だ。
△65桂には▲85歩と戻し、△77桂成▲同金△86歩に▲79桂と受ける。
後手に攻め込まれ気持ち悪い格好だが、形勢は難しい。
ただ先手が好んで選ぶ変化ではないように思う。
第4図 ▲47金と上がる
手順 ▲47金△51飛▲45歩△81飛▲46金△45歩▲同金△44歩▲46金△42銀▲47金△43銀上▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲28飛△33桂▲42歩。
▲59金を検討したが、後手に先攻されるという課題があった。
▲47金とする打開策を見ていきたい。この手も手番を調整する意味だ。
▲47金に△31金は▲48金と引き、△42金は▲45歩と仕掛ける変化に合流する。△32金なら▲58金と寄って一手パスした計算だ。
▲47金に△51飛は、▲48金なら△41飛▲58金△81飛と元の局面にする意味だ。
▲59金型と違って▲47金型は上部が厚いので、△51飛のとき▲45歩と仕掛けやすくなっている。
対して△41飛は▲44歩△同銀▲46歩と収めて、次に▲24歩から一歩交換を狙う。△33銀と引いて防ぎたいが、▲35歩△同歩▲45桂の攻めがある。
△81飛と戻ったのは、▲44歩△同銀▲24歩△同歩▲同飛に△23歩▲28飛△55銀左と反撃しやすくした意味だ。
△81飛に強く▲46金と出る。△45歩に▲同金と前進する。代えて▲45同銀だと△同銀のとき▲同桂は△37角があるので桂馬で取れない。
4筋の歩交換ができたら速やかに金を下げる。
最終図は4筋と2筋で歩交換ができ、その歩を使って▲42歩と垂らせる。先手指せる。
第5図 ▲47金に△41飛の変化
手順 △41飛▲48金△31飛▲45歩△41飛▲44歩△同飛▲47金△41飛▲48飛△81飛。
△41飛とするのはどうか。
対して▲48金と下がり、△81飛は▲58金と一手パスできる。すぐに△81飛と戻らず、△31飛や△51飛と途中下車して、▲58金に△81飛とすれば元の局面に戻せる。
△31飛に▲45歩と仕掛ける。
△45同歩は▲同桂△44銀▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲34飛△43銀▲22角と暴れて先手指せる。△51飛型には▲32飛成と切れるので成立する。
▲45歩に△41飛▲44歩△同飛▲47金(▲45歩△41飛▲46角は先手打開できない)△41飛となった図が具体的にどう打開するか難しい。
▲46歩と打って▲45桂と跳ねる土台を作っても、△44歩と打たれて元の局面に戻る。
▲48飛は▲46歩を打たずに頑張った手だが、後手は相手せず△81飛と戻っておく。
最終図以下▲28飛は△41飛で千日手模様なので、▲67銀ー▲56歩のように細かく駒を動かす展開になる。一局の将棋だ。
第6図 一手パスできた場合
手順 ▲47金△41飛▲48金△81飛▲58金。
第1図から第5図までは、先手が一手パスできるのは嬉しいという前提で検討したが、一手パスできたとしても形勢は難しい。
一手パスする仕組みも意味も難しいのに、一手パスできても難しい、現代将棋あるあるだ。
この形はまた今度検討したい。