テーマ図

今回は△72金型の角換わりを検討したい。まずはテーマ図。ここで▲66歩と突くと、△61飛と回るのが後手の狙い筋だ。以下▲79玉に△65歩▲同歩△同銀と仕掛ける。形勢は難しいが、後手が先攻できるので後手は嬉しいかもしれない。

そこでテーマ図で▲79玉と▲66歩を突かない指し方も考えられる。今回は▲79玉を本線に検討していきたい。

手順 ▲79玉△65歩▲24歩。

▲66歩と突くと△61飛から△65歩の仕掛けを狙われるので、▲79玉と引く。対して△62金と戻ると▲66歩とついて通常の角換わりに戻る。

▲79玉に仕掛けを考えたいが、△75歩▲同歩△65桂は▲76銀。単に△65桂は▲88銀△57桂成▲同金△38角▲28飛△49角成▲47金で後手の攻めは無理筋だ。

先手が▲66歩を突かなかったので、△65歩と位を取る手は考えられる。次に△64角が絶品だ。先手△64角を設置される前に動きたい。

▲45銀は△63銀▲56銀△54銀で千日手模様だ。△65歩には▲24歩が工夫した攻め方になる。

比較

手順 ▲38金△41玉▲56銀△31玉▲45歩△86歩。

▲24歩の検討の前に、比較したい局面がある。それが後手が▲95歩を取らせた将棋だ。

比較図から、▲48金と上がるのが自然だが△44歩▲56銀△31玉でお互い最善形になる。以下▲79玉と引くと、△65銀や△75歩▲同歩△65桂と先攻される。△31玉に▲38金と待っても△65桂からの攻めがある。先手はここで一手何を指すかが難しい。

戻って、▲38金が工夫の一手だ。同じように△44歩だと▲56銀△31玉▲48金で、さっきの局面と手番が変わる。△65桂の攻めは▲38金より▲48金の方が固いので、先手が得をする。△22玉と入ると▲45歩と仕掛けることができる。つまり、お互いパスをしたい局面だ。

▲38金に△41玉が後手の工夫。▲56銀に△31玉とすれば、▲48金△44歩で後手もパスできている。これでは後手の主張が通るので、△31玉に▲45歩と位を取ってどうかという将棋になる。△41玉にすぐ▲45歩とする手も考えられ、これはまた別の将棋になる。

▲38金△41玉▲56銀△31玉▲45歩△86歩とした局面は、どこかで見覚えがあるだろう。そう、先ほどの▲24歩と仕掛けた局面だ。違いは▲95歩型と手番。△86歩と仕掛けた局面とさほど理屈は変わらない。

もう一つ、さっきは先手だったので△65銀▲47銀△54銀の千日手模様は不満だったが、今度は後手番なので考えられる変化になる。

△41玉▲56銀に△44歩と位を拒否するのは▲49飛△31玉▲45歩△同歩▲同銀と仕掛けることができる。▲38金に△44歩▲56銀となった局面も、△41玉は▲49飛。△31玉は▲48金で理屈は変わっていない。

比較図の理屈を理解するのは大変だが、つまり、▲24歩と△86歩の仕掛けは、指す側にも指される側にもなりえる局面ということだ。角換わりは一つのテーマ図を研究すると、先手を持っても後手を持っても使えるし、応用できる。

①△24同歩の変化

手順 △24同歩▲35歩△同歩▲45桂△44銀▲24飛△23歩▲29飛△64角▲15歩△同歩▲12歩△同香▲34角。

まずは△24同歩の変化だ。先手は▲35歩と仕掛ける。△同歩▲45桂に銀の逃げ場所は3カ所あるが、△22銀と引くと、▲24飛が次に▲64角や▲53桂成△同玉▲54飛△同玉▲45角を狙って厳しい。

△44銀は自然な一手だが、▲24飛△23歩▲29飛と引いて先手満足だ。△64角と打っても、▲15歩△同歩▲12歩△同香▲34角が厳しい。以下△46角は▲26飛△19角成▲23角成で破れる。これは先手優勢だ。

▲15歩△同歩▲12歩を入れずに単に▲34角と打つと、△24歩▲同飛△33銀▲同桂成△同玉で受け止められてしまう。

手順 △34銀▲24飛△23金▲29飛△25歩▲75歩△同歩▲74歩△44歩▲64角△63金▲53桂成△同金▲73角成。

次に△34銀の変化を見ていきたい。▲24飛に△23銀と引くと▲53桂成△同玉▲54飛△同玉▲45角で先手優勢。

▲24歩△同歩▲35歩△同歩▲45桂ではなく、▲35歩△同歩▲45桂と仕掛ける方が見慣れている。しかし、△34銀▲24歩△44歩▲23歩成△同銀で攻め切るのは大変だ。▲24歩△同歩▲35歩△同歩▲45桂△34銀▲24飛なら△23銀がきかず、△23金に限定できる。これが先に▲24歩とした理由だ。

△23金▲29飛に△44歩は▲22角で先手指せる。よって▲29飛に一回△25歩と受けることになり、▲75歩と攻めのターンがくる。

最終図は次に▲72馬から▲73歩成を狙っている。厚くしながら攻めることができる。ただ、形勢は難しい。

手順 △23金▲33桂成△同桂▲15歩△同歩▲同香△同香▲12角△22香▲34歩△25桂。

▲45桂には2筋の突き捨てを咎めるべく、△23金と上がる手が有力だ。▲33桂成△同桂で銀桂交換になったが、この後の攻め方が難しい。

▲15歩△同歩▲同香△同香▲12角には、△22香と支えておいて攻めが難しい。他にも△13金▲34角成△18香成とする順も有力だ。▲29飛が使いづらく、先手今一つか。

▲15歩に代えて▲64銀と打って次に▲55銀打を狙う手には、△52桂と催促される。▲66歩△同歩▲同銀と動く手もあるが、▲66歩に△86歩▲同歩△85歩の反撃もあり、先手も動きづらいところ。

結局▲15歩に戻りそうだ。△65歩に▲24歩の仕掛けは、この図で先手にうまい攻め方があるかどうかが重要。

②△24同銀の変化

手順 △24同銀▲45銀△同銀▲同桂△63銀▲97角△62角▲64銀△同銀▲同角△44歩▲75歩△63銀▲55角△43玉▲74歩△同銀▲64銀△54歩▲53桂成△同角▲73銀成。

次に△24同銀の変化だ。▲45銀△同銀▲同桂で、次に▲63銀△同金▲72角があるので△63銀と埋める。後手陣にスキがなさそうだが、▲97角が気付きづらい遠見の角だ。これが意外と受けづらい。△44角は▲55銀だし、△62金も▲53桂成△同金▲62銀がある。

△62角が手強い一手だ。対して▲64銀△同銀▲同角で▲55角の転換を見る。例えば▲64同角に△63銀は、▲55角△33桂▲同桂成△同銀▲同角成△同金▲55桂△52銀▲63銀で先手優勢だ。

▲64同角に△44歩は桂取りで、▲55角のラインもケアしている。▲75歩に△同歩は▲53桂成△同角▲同角成△同玉▲74歩で攻めが続く。

最終図は先手がうまくやったようだが、△55歩や△71歩などで難解。

手順 ▲66歩△95歩▲65歩△96歩▲64歩△97歩成▲63歩成△同金▲72銀△87と▲同金△99香成▲81銀不成△89成香▲68玉△47香▲58金△65桂。

▲64銀に代えて▲66歩も考えられる。△95歩▲65歩△96歩▲64歩に△54銀と逃げると▲88角と引かれ、次に▲63銀と▲68銀があり先手指せる。▲64歩には△97歩成となり、以下は一直線の攻め合いだ。

▲63歩成△同金に▲97香△同香成▲72銀もあるが、「両取り逃げるべからず」で△65桂と攻めて難しい。

最終図は際どい勝負だ。

▲24歩の仕掛けに△同歩も△同銀も分からない変化が多い。テーマ図から▲66歩△61飛▲79玉△65歩の変化と比べて先手が先攻できるのがメリットだが、どれもかなり際どく、先手が選ぶ変化か不明。

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