テーマ図

今回は△94歩と突いた将棋を検討したい。△94歩に代えて△72銀とした将棋はこちらで検討した。

△94歩に代えて△72銀は▲35飛と引かず、▲96歩から攻めを組み立てる。▲96歩に代えて▲16歩も有力だった。テーマ図の△94歩は▲35飛と引いたら△72銀に構える意味だ。△94歩に▲96歩と受けたら△62銀ー△51金と駒組する。このとき9筋の交換は後手が得だ、という主張だ。

手順 ▲35飛△72銀▲25飛△93桂▲96歩△76飛▲77角△36飛▲95歩△34飛。

▲35飛を見て△72銀と上がる。そして▲25飛に△93桂が面白い一手だ。△93桂に代えてすぐ△76飛とすると▲85飛と回られる。次に△76飛を狙っている。△74歩▲29飛△73桂とすると▲48金で下段飛車が間に合う。

△76飛から△36飛と歩をパクパク取って、△34飛と引いて次に△36歩を狙う。最終図は後手ペースだ。

手順 △62銀▲35飛△82飛▲25飛△86歩▲85歩△51金▲48金△74歩▲46歩△73桂▲29飛△85飛▲33角成△同銀▲88歩。

9筋を入れずに△62銀から駒組するとどうなるか。△72銀と違って△62銀は53の地点が固いので先手は▲35飛と引いて持久戦を目指す。

▲25飛に代えて▲87歩と打つと、△88角成▲同銀△33桂で飛車が2筋に戻れない。▲25飛と▲87歩の両方指すことができれば先手作戦勝ちになる。今回はこの条件をめぐる攻防だ。

後手は▲25飛を許すが、△86歩と反撃する。▲33角成△同桂が飛車に当たるので、▲85歩と受ける。そしてこの▲85歩を目標にする。

△74歩ー△73桂で次に△85桂や△85飛を狙う。▲29飛とじっと引いておいて、△85飛に▲33角成△同銀(△同桂)▲88歩と低く受けておいた図は先手作戦勝ちが見込める。歩の損得はないが、陣形は先手の方が良い。相掛かりに似た感覚だ。

手順 ▲96歩△62銀▲35飛△82飛▲25飛△86歩▲85歩△51金▲48金△74歩▲46歩△73桂▲29飛△85飛▲33角成△同桂▲88歩△54角。

9筋が入った場合、最後△54角で攻めを繋げやすい。最終図以下▲47銀は△95歩▲同歩△98歩▲同香△76角のような攻めが狙える。

手順 △93桂▲29飛△85桂▲33角成△同桂▲88歩△84飛。

△74歩ー△73桂の変化の他に、すぐ△93桂と跳ねる手も有力だ。△74歩を突かないので▲55角のラインがない。

手順に△85桂と駒を使って好調だ。最終図は後手不満ない。

手順 ▲77桂△54歩▲65飛△31玉▲95歩△64歩▲75飛△95歩▲94歩△85桂▲同桂△74歩。

△93桂には▲77桂と対応する方が勝る。△54歩は次に△55歩と止めてから△85桂を狙っている。▲65飛はそれを消した意味。

対して△31玉は△64歩▲同飛△85桂▲同桂△同飛となったとき▲96角の王手飛車ラインを未然に防いでいる。

最終図以下▲74同飛は△85飛。▲25飛は△55歩としてどうか。

手順 ▲87歩△82飛▲35飛△88角成▲同銀△33桂▲39金△51金。

テーマ図に戻って状況を整理したい。△94歩に▲35飛と引くと△72銀を選ばれる。△94歩に▲96歩と受けると△62銀▲35飛△82飛▲25飛△86歩で9筋の交換が後手に生きる。そこで△94歩に▲87歩とする手が考えられる。

▲87歩に△76飛とするのは▲33角成△同銀▲84飛△82歩▲85角で先手良し。▲87歩△82飛と引かせてから▲35飛と引く。これで△76飛と取る筋がなくなっている。

▲25飛と戻られては後手作戦負けになるので、△88角成▲同銀△33桂とする。△88角成▲同銀にすぐ△28角と打ち込むと▲32飛成△同玉▲29金で先手指せる。△33桂と跳ねて次こそ△28角があるので▲39金と受ける。

最終図から先手はどう駒組するか。

手順 ▲77銀△62銀▲15飛△74歩▲16飛△73桂▲26飛△65桂▲35歩。

一回▲77銀と上がる。すぐ▲15飛は△84飛▲16飛△24飛が気になる。▲25歩は△同桂▲46角△37桂成▲24角△38成桂▲同金△34角がある。▲77銀と上がってあれば最後△34角がない。

△33桂で2筋を戻ることを阻止されたが、▲15飛ー▲16飛ー▲26飛と迂回して2筋に戻ることができる。しかし3手掛かるのでその間に後手は駒組をする。

△65桂に▲66銀は△88歩▲同金△57桂成で、▲同玉は△79角。▲同銀は△44角で後手優勢。△65桂に▲88銀と引くのも△86歩▲同歩△同飛▲87歩△76飛▲77歩△35角で後手優勢。

よって銀を逃げることはできず、▲35歩になる。銀桂交換になるが、▲34歩が残っているので形勢は難しい。△65桂では△75歩の仕掛けもあるところ。

手順 ▲25桂△14角▲33桂成△同銀▲37銀△24銀▲65飛△84飛▲48金。

▲15飛から迂回すれば2筋に飛車を戻すことができるが、時間が掛かるのが気になる。▲25桂とするのは積極的な一手だ。▲25桂の前に▲77銀と上がるのは大切で、上がらないと▲25桂に△同桂▲同飛△66桂▲同歩△34角で後手良しになる。

▲25桂で次に▲33桂成△同銀▲25飛と2筋に戻られると後手作戦負けになる。後手は意地でも飛車を2筋に帰してはいけない。△14角はその意思を感じる一手だ。

しかし▲37銀ー▲48金と自然に駒組して先手不満ないだろう。後手は先手の飛車を目標にしたいが、なかなかいじめる形にならない。後手は角を手放しており、リスクある順と言える。

まとめ

△72銀の前に△94歩と打診するのは、▲35飛を見たら△72銀。▲96歩と受けたら△62銀とする意味。このとき9筋の交換は後手得になる。

△94歩に▲87歩と打つ手が有力だ。△82飛▲35飛△88角成▲同銀△33桂▲39金△51金▲77銀△62銀と進んで、先手はどう2筋に飛車を戻すか。

①▲15飛 ②▲25桂のいずれも有力で、力戦調の戦いになる。

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