今回は後手雁木の将棋を検討したい。

目次

第1図 △54歩で様子を見る

手順 △43銀▲68玉△54歩。

△43銀を見て▲68玉と上がる。

後手は△32銀型で待機する指し方もある。こちらで検討した指し方だ。

△43銀を保留することで、先手の手に対応しやすくしている。

その対策として、先手は▲68玉を保留する指し方がある。

こちらで検討した変化だ。

▲68玉に△54歩が工夫の一手だ。

代えて△84歩▲37銀の進行だと、先手は▲58金右を保留した指し方ができる。▲58金右を省略できると一手早く仕掛けることができるし、将来▲58玉と寄る余地が残るので先手得に働くことが多い。

こちらで検討した変化だ。

△54歩に▲37銀なら△32飛や△52飛と振り飛車にして、▲37銀が形の決めすぎだと主張する。

第2図 △32金保留の工夫

手順 ▲58金右△84歩▲37銀△85歩▲77角△74歩▲88銀△62銀。

△54歩に▲58金右と上がるのは、後手が振り飛車をやってきたときに対応しやすくした手だ。

△84歩と居飛車にしてきたのを見て▲37銀と上がる。

△85歩▲77角に△74歩が細かいが大切な手。代えて△62銀だと▲35歩△同歩▲46銀と仕掛けられる。

△74歩と突いてあれば▲35歩△同歩▲46銀に、△86歩▲同歩△75歩とスムーズに反撃できる。

△62銀に代えて△52金右▲78玉△32金▲46銀△53金と進むと、こちらの記事で検討した変化と合流する。

この変化と今回の変化の比較は重要で、記事の最後にまた比較してみたい。

今回は△32金を保留する指し方だ。

第3図 ▲35歩の変化

手順 ▲35歩△同歩▲46銀△75歩▲24歩△同歩▲35銀△76歩▲66角△86歩▲78金△42角。

▲35歩と仕掛ける変化から見ていきたい。

後手が△52金と上がっている形で▲35歩と突くのは、△同歩▲46銀△34銀▲38飛△43金▲35銀△同銀▲同飛△34歩で受かる。

△52金と上がっていない格好なら▲35歩と行きたいところだ。

△35同歩▲46銀に△75歩と反撃する。▲同歩は△76歩▲66角△64歩で先手の角が狭い。

△75歩▲同歩に△86歩▲同歩を入れてしまうと、△76歩▲66角△64歩に▲87銀と上がって受かる。

△86歩と突くタイミングが大切だ。

△75歩▲24歩△同歩(△同角は▲35銀△同角▲23飛成)▲35銀△76歩▲66角に△86歩と突く。

これに▲86同歩もあるが、△42角と引かれて次に△86角が王手になる。△42角以下▲78玉△73桂▲68金上△65桂と進むと、迫力のある攻めになる。

△86歩▲78金△42角と進んだ最終図は、形勢は互角だが後手の主張が通った局面とも言える。

▲24銀は△64歩で、このとき△32金型なら▲23銀不成が厳しいが、△41金型の後手玉が固い。

▲44銀△同銀▲同角と行きたいが、銀を渡すと△87歩成▲同銀△86歩▲76銀△87銀と打ち込まれる格好なので先手も怖い。

先手としても▲35歩と仕掛けてリードを奪いたいが、△32金保留の形を生かされるので仕掛けるか微妙なところだ。

第4図 ▲46銀から▲35歩の変化

手順 ▲46銀△53銀▲35歩△45歩▲同銀△35歩▲33角成△同桂▲56銀△32金▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲26飛。

次に▲46銀と上がる変化を見ていきたい。

▲46銀ー▲35歩と仕掛けるのは後手が△52金と上がっている場合で、△52金と上がっていないのに▲46銀と出るのは、後手の主張を通した感がある。

しかし有力だ。

▲35歩に△45歩と突き、▲同銀△35歩と対応する。

対して▲56銀や▲78玉もあるが、△44歩と打たれる可能性がある。こうなると将来△75歩▲同歩△64銀や△72飛で▲77角を狙われる展開になる。

▲33角成は早めに角を捌いた意味だ。

最終図はこれからの将棋。ただ後手の理想形が難しい。

△62金ー△73桂ー△64歩ー△81飛と組みたいが、▲77銀ー▲66歩ー▲75歩のときが受けづらい。

これが△53金型で、△62銀ー△73桂ー△64歩ー△81飛の格好なら▲75歩に△63銀と上がれた。△64歩を省略しても▲75歩に△64金と上がれる。

△53金型は▲75歩の桂頭攻めに強く、△73桂と跳ねやすい意味があった。

まとめ

△32金保留型は▲35歩△同歩▲46銀の仕掛けに対応しやすくした意味があった。

▲46銀ー▲35歩なら後手の主張が通った序盤のように感じる。

しかし自然に駒組みされると後手の理想形が描きづらく、後手の勝ちづらさが残る。

△53金型と△53銀型のどっちを選ぶか難しいところだ。

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