奨励会1級のときに指した将棋を紹介します。

上手側から見たい方は将棋盤下の一番右の矢印マークを押して、反転して見てください。

△35 歩▲同歩△32 飛▲13 飛成△35 飛。


この局面は香落ち戦の中盤戦が始まったところで、上手が私。
香を手持ちにしているが、相手の 14 飛や、37 桂がいるために△25 桂から捌く展開にはならなそうだ。現状は上手の飛車が 13 の桂を支えるだけの駒に成り下がっているためなんとかしたいところ。


ここで△35 歩▲同歩△32 飛がうまい打開。▲13 飛成で桂を取られてしまうが、△35 飛と走った局面は上手の大駒が正常な呼吸を取り戻すことに成功している。

▲16 竜△36 歩▲38 歩△37 歩成▲同歩。


これはうまく捌けただろう。ガッハッハ!と思っていた所指された▲16 竜。
なんだ?△36 歩で桂馬が取れるじゃないかと思ったが、そこで▲26 竜がしぶといことに気がつく。以下△32 飛▲35 歩△37 歩成▲同銀△12 飛▲16 歩で飛車がすぐに使える展開にはならなそうだ。いや、そこで△64 歩~△74 歩~△63 金と厚くしつつ玉頭攻めを狙っていけば大変かな?
なんとなくの構想を思い浮かべてから△36 歩と打つ。すると少考で指されたのはまさかの▲38 歩!
さ~すがにその辛抱なら良くなったでしょ!と思ったが、△37 歩成▲同歩の局面で指す手が難しい。
ここでしっかり時間を使ったが、良い手を指せなかった。

△24 歩▲36 歩△25 飛▲26 歩△85 飛。


ここで△24 歩と突いた。狙いは一歩を手に入れて△95 歩からの端攻め。
本譜の▲36 歩は疑問手で、一歩を手に入れつつ、△85 飛が次の△84 香の先手になって指しやすくなった。
対局中に読んでいたのは▲24 同歩△同角▲26 竜△34 飛の展開。そこで▲46 桂は△35 角で切り返せるし、▲57 銀なら△42 角と引いておけば端攻めの狙いができるしまずまずだと思っていた。しかし、じっと▲25 竜と指されると上手は指し手に困っていた。次に▲46 桂とされると激痛だし、△42 角には▲35 桂があって厳しい。他に冴えた手もなく、とても身動きが取りづらい格好になってしまっていた。
ではどう指すのが正解だったかというと、△24 歩に代えて△53 角が有力だった。

△53 角。


△53 角は次に△34 銀と上がって歩の補充を見せつつ、将来の△45 銀~△56 銀の活用を視野に入れた明るい一手。△53 角の効果で▲44 角と飛び出す手を防いでいる。残念ながら対局中はこの構想に気がつくことができなかった。
43 の銀を活用する方法として、△84 香▲66 角△34 銀も考えられる。▲66 角と上がった直後なので、▲44 角と指しづらくなっているし、黙っていれば△25 銀で一歩補充することに成功する。しかし、下手が常に警戒しなくてはならない△84 香をこのタイミングで打ってしまうのは少し勿体ない印象だ。下手からしたら△84 香や△74 香がいつ飛んでくるか分からない方が嫌だろう。


△53 角は単純な将棋にせず、色々な手を含みに戦う感じで実に上手らしい。
評価値的には下手がリードを保っているのだが、△53 角のような手をあたり前のように指
していけば中盤のねじり合いを制することができるだろう。

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