目次

第1図

今回は相雁木で△42金右とせずに△22玉と入る手を見ていきたい。先手は千日手になると不満、打開できるかがテーマだ。後手は千日手大歓迎、スキを作らず待てるかがテーマになる。この前提を意識して第1図を見てほしい。

前回は△22玉に代えて△42金寄とした変化を検討した。その変化はこちらから。

手順 △42金右▲45歩△同歩▲75歩△84飛▲15歩△同歩▲45桂△44角▲13歩△同香▲24歩△同歩▲74歩△同飛▲14歩△同香▲24飛。

△42金右には▲45歩から打開するのが有力だった。△45同歩に▲同桂△44角に▲65歩とする手と、▲45歩△同歩に▲75歩とする手のどちらも有力だ。

△22玉と入る意味は、△42金右の変化と比較すると分かりやすい。

先手が▲15歩△同歩を入れる場合は手順がとても重要だ。▲45歩△同歩▲同桂△44角に▲15歩△同歩▲75歩とすると、今度△84飛とは受けてくれず△65歩の攻めが有力になる。▲15歩△同歩で貰った歩が大きく、後手の攻めが厚い。

▲45歩△同歩▲同桂△44角▲75歩△84飛に▲15歩とすると、△75歩とされ、▲14歩は△18歩▲同香△17歩で後手良しになる。

▲45歩△同歩▲75歩△84飛に▲15歩なら△15同歩が入る。

以下▲45桂△44角に▲13歩が狙い筋。▲24同飛まで進むと△14香が受からない。

△42金右が△22玉に代わっていれば最後▲24同飛に△23金と受けることができる。△22玉は端攻めに備えた意味がある。

△42金右の変化も難しいが、「打開する」という先手の課題はクリアできている。

第2図

手順 ▲45歩△同歩▲同桂△44角▲75歩△84飛▲74歩△同飛▲76歩△84飛▲24歩△同歩▲25歩△同歩▲65歩。

△84飛に▲74歩△同飛▲76歩と受けておく順はある。一見すると△84飛と戻られて何をやっているか分からないが、▲24歩△同歩▲25歩△同歩▲65歩となったとき△84飛が▲66角のラインに入る意図がある。

▲25歩△同歩の継ぎ歩は、将来▲24歩と垂らす手を見据えている。

しかし最終図以下△65同歩でも△77角成▲同桂△44歩でも先手の攻めに不安がある。

最終図の形勢は難しいが、先手としてはもっと腰の入った攻めをしたいところだ。

手順 △84飛▲15歩△同歩▲13歩△同香▲65歩△81飛。

△84飛に▲15歩△同歩▲13歩△同香を入れて▲65歩も考えられる。

今度△65同歩だと▲35歩がある。▲25歩△同歩とした変化と比べて先手の持ち駒に歩があるので厳しくなっている。▲35歩に△77角成▲同桂△44歩は▲75角がある。

▲65歩にすぐ△77角成▲同桂△44歩とすると、▲24歩△同歩▲53桂成△同金▲14歩△同香▲24飛△23金▲31角△12玉(△32玉は▲42角成で先手優勢)▲22歩△24金▲21歩成△同玉▲53角成で先手指せる。

途中▲14歩△同香に▲51角がうまそうな手だが、△46角▲73角成△81飛で先手大変だ。

本線に戻って、▲65歩には△81飛が好手だ。△77角成▲同桂△81飛も同じ意味だ。▲64歩の取り込みに△77角成▲同桂△44歩とすれば、今度▲24歩△同歩▲53桂成△同金▲14歩△同香▲24飛のとき△23金や△13玉で受かる。

▲25歩△同歩の変化で、▲65歩に△81飛とすると▲64歩△77角成▲同桂△44歩に▲24歩で先手指せる。

▲24歩△同歩▲25歩△同歩▲65歩と▲15歩△同歩▲13歩△同香▲65歩の攻めが考えられるが、後手は先手の手に応じて対応を変えることができる。

手順 △42玉▲88玉△31玉

△22玉▲45歩△同歩▲同桂△44角▲75歩の攻めを警戒するなら△42玉と上がる工夫もある。△42玉は1筋から遠ざかる意味がある。▲45歩△同歩▲同桂に△22角と引いてどうか。

△42玉に▲88玉△31玉となれば、このあと出てくる△22玉▲88玉△31玉とした変化と合流する。

第3図

手順 ▲88玉△42金右▲45歩△同歩▲同桂△44角▲75歩△86歩▲同歩△65歩▲74歩△66歩▲同角△86飛▲77玉△66飛▲同銀△65歩。

▲45歩と仕掛けずに▲88玉と入る手はどうか。対して①△42金右 ②△31玉が考えられる。

△42金右に同じように▲45歩△同歩▲同桂△44角▲75歩と仕掛けると、△86歩▲同歩△65歩で▲88玉型を咎められる。△86飛が十字飛車で後手優勢だ。

▲88玉型は横の攻めに強いが、上部の攻めに弱い。▲79玉型は上部の攻めに対応しやすいが、横の攻めに弱い。後手としてはこの理屈を踏まえた上で、▲79玉型と▲88玉型とで対応を変えていきたい。

手順 ▲45歩△同歩▲35歩△46歩▲24歩△同歩▲34歩△同銀▲25歩△36歩▲45銀△同銀右▲同桂△同銀▲24歩△31桂▲56銀。

▲45歩△同歩▲35歩と仕掛ける順が有力だ。

△46歩は手筋の受けだ。対して▲24歩△同歩▲34歩△同銀▲25歩と継ぎ歩する。▲24歩△同歩に▲15歩△同歩は入るが、▲34歩△同銀▲25歩のとき△16歩と伸ばされる可能性があり損になる変化がある。

▲25歩に△同歩▲同桂△44角は▲45歩△同銀右▲同銀△同銀▲65歩で先手良し。

△36歩には▲45銀とぶつけていく。最終図は先手指せる。▲56銀以下△同銀は▲23銀△同桂▲同歩成△同金▲34桂。▲56銀に△34銀も▲45銀打で攻めが続く。

△46歩は手筋の受けだが、▲88玉と入っている格好では危ない。▲79玉型で▲45歩△同歩▲35歩の仕掛けには先手玉が4筋に近いので△46歩が有効になる。▲45歩△同歩▲35歩には別の手段を考えたい。

手順 △86歩▲同角△65歩▲34歩△同銀▲35歩△43銀左▲45桂△44角▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲44飛△同銀▲64角打。

△46歩では先手にたくさん攻められた。△86歩と反撃するのが有力だ。▲同歩には△85歩の継ぎ歩がある。▲86同角に△65歩と斜めのラインで攻める。

▲34歩△同銀▲35歩は攻めを繋げる好手だ。対して△43銀左には▲45桂△44角▲24歩で十字飛車を狙う。

▲24歩に△66歩は▲同銀△同角▲77金右で先手良し。△24同歩は仕方ないが、▲44飛と角を取って▲64角打とした図は先手指せる。後手には▲34桂のキズがある。

手順中△43銀左が良くなかった。△35同銀が勝る。

手順 △35同銀▲45桂△44角▲53桂成△同角▲同角成△同金▲62角△64角▲65歩△同銀▲同銀△同桂▲66歩△86歩▲同歩△87歩▲同金△57桂成▲同金△85歩。

△35同銀▲45桂△44角とすれば、今度▲24歩がない。

▲62角に△61桂と受けると、▲36歩で、△同銀も△44銀も▲24歩から十字飛車を狙われる。△64角なら▲36歩に手抜いて△86歩▲同歩△87歩▲同金△85歩で後手指せる。

進んで▲66歩に△86歩から攻め合って後手ペースだ。

▲45歩△同歩▲35歩の仕掛けには、△86歩の攻めが有力だ。

第4図

手順 △31玉▲45歩△同歩▲同桂△44角▲75歩△86歩▲同歩△65歩▲74歩△66歩▲同角△同角▲同銀△45銀▲同銀△76桂。

△42金右の変化も後手有力だったが、先手は何とか開戦できる。△31玉はもっと得しようとする手だ。

▲45歩△同歩▲同桂△44角▲75歩には、△86歩▲同歩△65歩で後手指せる。先手のこの攻め方は▲79玉型でないと成立しない。

△22玉型の場合と違って、▲66同角に△86飛と走ると▲97玉△66飛▲同銀△同角▲61飛で耐える筋がある。今回の場合は△66同角▲同銀△45銀▲同銀△76桂とする方が分かりやすいだろう。

最終図は後手良しだ。

手順 ▲45歩△同歩▲35歩△86歩▲同角△65歩▲34歩△同銀▲35歩△同銀▲45桂△同銀▲同銀△66歩▲34歩△22角。

では▲45歩△同歩▲35歩の仕掛けはどうか。

同じように攻めたとき、今度は▲45桂に△同銀が成立する。以下▲同銀△66歩となったとき、△22玉型では▲34歩△55角▲56銀上で先手良しだったが、今回は▲34歩に△22角と引くスペースがある。

最終図は後手指せる。

第5図

手順 ▲49飛△22玉▲45歩△同歩▲35歩△86歩▲同角△65歩▲45銀△66歩▲34歩△55角▲56銀上。

△31玉に▲45歩△同歩▲同桂、▲45歩△同歩▲35歩のどちらもうまくいかなかった。

そこで▲49飛と力をためる。△22玉に▲45歩△同歩▲35歩と仕掛ける。

対して△86歩▲同角△65歩は今までもよく出てきた反撃手段だが、この場合は▲45銀で先手良しになる。△45同銀は▲同桂△44角▲34歩△同銀▲33歩が痛い。

▲35歩に△同歩もあるが、▲45銀△同銀▲同桂△44角▲33歩と叩けるようになるので、取りづらいところだ。

▲45銀に△66歩の攻め合いも▲34歩△55角▲56銀上と手順にかわせる。最終図は▲34歩の拠点が大きい。駒が入ったら打ち込んでいけば後手玉は寄り筋になる。

手順 △46歩▲同飛△95歩▲同歩△86歩▲同角△65歩▲34歩△同銀▲44歩△97歩。

一回△46歩が好手だ。▲同飛と取らせてから△95歩▲同歩△86歩▲同角△65歩とする。今度▲45銀は△55角で後手良しになる。

やむなく▲34歩△同銀▲44歩と止めるが、この手が何でもないので先手辛い。

先手は次の狙いに乏しいので、△97歩とじっと垂らしておくのが良さそうだ。▲同香には△85桂▲96香△35銀▲49飛△66歩▲同銀△44角の攻めが狙える。

△97歩と垂らした図は後手が主導権を握っている。後手指せる。

手順 ▲79玉△42金右▲45歩△同歩▲35歩△46歩▲同飛△86歩▲同角△65歩。

▲79玉と引いてから▲45歩△同歩▲35歩と仕掛ける順もあるが、同じ対応で後手指せる。

△46歩と伸ばす、△86歩とつく、▲同歩は△85歩。▲同角は△65歩。覚えやすい手順だ。

まとめ

▲68金右で①△42金右 ②△22玉の分岐だ。

①△42金右▲45歩と仕掛ける順も難しいが先手は開戦できる。

②△22玉はより得しようとする手だ。▲45歩△同歩▲75歩△84飛▲15歩△同歩▲45桂△44角▲13歩△同の変化のとき△22玉が1筋を守っている。

▲45歩△同歩▲35歩には△46歩と伸ばしておく。

△22玉▲88玉の局面で①△42金右 ②△31玉の分岐だ。

①△42金右に▲45歩△同歩▲同桂△44角▲75歩は△86歩▲同歩△65歩で十字飛車を狙われる。▲45歩△同歩▲35歩△86歩▲同角△65歩の順は難しい。

▲88玉型なので▲45歩△同歩▲35歩に△46歩は後手怖い。

②△31玉に▲45歩△同歩▲同桂△44角▲75歩は△86歩▲同歩△65歩。▲45歩△同歩▲35歩は△86歩▲同角△65歩で後手対応できる。

▲88玉△31玉に▲45歩と仕掛ける順はうまくいかないので、▲49飛と回る。しかし△22玉と入られて、▲45歩△同歩▲35歩は△46歩▲同飛△86歩▲同角△65歩で後手指せる。

△22玉ー△31玉ー△22玉と繰り返して待つ順は後手有力だ。先手がどう打開するかは課題。現状、相雁木は後手不満ないと言える。

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